花筐 HANAGATAMIのレビュー・感想・評価
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戦争は“魅了”する
「電気紙芝居」的な合成画面に膨大な台詞、過剰なロマンティシズムとエロティシズムを投入した怒濤の二時間四十八分。長尺を意識する暇もないすごい力技で、込められた表現へのエネルギーに圧倒されます。三十、四十の役者が演じる学生たちに違和感を感じるのは最初だけ、あっというまに大林マジックに巻き込まれ、主人公たちの疾風怒涛の青春に飲み込まれてしまいます。唐津おくんちの生命力溢れる映像に、執拗に描写される戦争の暗い影、吸血鬼映画的なエロスがミックスされ、生と死と愛の一大パノラマが展開。「青春が戦争の消耗品だなんてまっぴらだ」という台詞もあるけれど、単純に戦場で死ぬということだけではなく、戦争に侵食された時代の中では、日常においても死の影にからめとられていくことも描きます。戦争はエロスとタナトス表裏一体となり、人間を“魅了”していくのです。めくるめく強靭で潤沢なイマジネーションの洪水の中で、常盤貴子と門脇麦が、大林マジックに拮抗するかのような存在感で輝いていました。一年の締めくくりににすごい映画を見られて良かったな。あきね役の山崎紘菜ちゃんはどこかで見た顔だと思ったら、東宝シンデレラだったのね。
初めてもう1回劇場で観たいと思った作品でした
大林監督の作品を初めて観た、映画ド素人ですがご参考になればと感想を記載致します。
古里映画というサブタイトルに寅さん的なほんわか映画と思って観てしまったら、びっくり仰天の超大作でした。生まれて初めてもう1回劇場で観たいと思いました。
純文学の演劇をハイスペックなCGとアートによって作り上げられた【映画】という舞台で演じられているような感じでした。
「映画ってこんなに綺麗なんだあ」と目からうろこでした。どこかの映画祭で美術賞は必ず受賞されると思いました。
また、目まぐるしく展開する映像に引き込まれ、集中して観てしまったせいか、2時間49分があっという間に感じました。この美しいアートな作品は劇場(大きいなスクーン)での鑑賞をお勧めします。分かりやすく言うと「プロジェクションマッピング」は実物(大きなスクリーン)を観たいのと同様です。
内容が難しいと言う方もありますが、私と一緒に観た友達は、大興奮の大満足で、私は感涙でした。
この映画を楽しんだ私が考えた鑑賞ポイントを優先順に記しました。お役に立てば何よりですが
①戦争中に中高生だった貴方のお父さん、お爺さんまたは曾祖父の青春期のお話
②大林監督の美しい映像アート
③メインキャスト以外(セリフの無い方は全て)は唐津市のボランティアの方
④クラクイン直前に癌告知を受けた大林監督が、治療しながら命懸けで撮影製作された作品
⑤実は長塚圭史さんと常盤貴子さんご夫婦になってからの初共演だった。
☆☆★★★ 良い意味でも悪い意味でも大林宣彦節が炸裂。 この玩具箱...
☆☆★★★
良い意味でも悪い意味でも大林宣彦節が炸裂。
この玩具箱を理解するには、かなりの数の大林作品を読み込んでいないと、「これは何を描いていて、何故こんな手の込んだ事をしているのか?」…は理解不能だと思う。
それにしても大林宣彦は若い!
相当な大病であるし高齢。それなのにこれ程までにカメラとゆう玩具を使い、瑞々しい映像をまだまだ撮れるのだから。
映画のラストに檀一雄の辞世の句が。
まさかこれで終わりじゃあないですよね〜監督。
今回、個人的には好きにはなれない作品でしたが。次回も有りますよね!まだまだ撮ってくださいね。
2017年12月18日 スバル座
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