希望のかなたのレビュー・感想・評価
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わさびは、寿司のネタにはならんだろっ
1人の山田孝之…ではなく。一人の難民男性が、アレッポからヘルシンキへ移ってどうなるか?
凄くまじめな作品と思いきや。なんだぁあの寿司は、ワサビはネタなのかなんなのか。
単館で鑑賞させてもらいましたが、凄い混雑でビビった
どうして。コメディーか移民問題の作品か。
ある種の失敗
カーリドが難民申請の際にフィンランドは良い国なはずだと語る場面など、あまりにも直球なメッセージ性に驚いた。カウリスマキも「これは傾向映画です。そんな企みは大抵失敗に終わるので、その後に残るものがユーモアに彩られた、正直で少しばかりメランコリックな物語であることを願います」と言っている。
心に残るのは人々のさりげなく、でも心からの優しさ。無条件で携帯を貸すこと、何も言わずスープを注ぎ足すこと、そっとドアの鍵を開けること。不安な中、カラフルで美味しそうな料理を作ること。
出てくる人の顔が良い。特にカジノのじいさん。
犬も絶妙なかわいさ!どうか犬が導いてくれますように。
カーリドを演じたシュルワンハジが知的でステキ。1991年生まれには見えないけど。
あ~、よかったあ・・・
アキ カウリスマキの映画は好きで、長く見ているけれど、今回のこれは、多くの人に伝えたいからこそ、見やすい分かりやすい映画だったように思う。
よかったぁ・・・ほんと、じんわり・・・・やっぱりこの人の映画、好きだわぁと改めて思った。
移民問題について、人の優しさについて。この場合は、こうなるだろうというのを裏切って、いいハッピーな方向につないでくれることで、見る方は楽しく見れるし、進行が気になる・・・
そして、心に残るラスト・・・・映画観終わった人が、すぐに動けなくなるような・・・
いい映画、年末に見れて良かった。
すげー良い映画
本当に良い映画でした。本作を形容するときに、「良い」という使われすぎている言葉が何故か一番しっくりくると感じています。ウェルメイドとかではなく、良い。グッドな映画。
自分の店のゴミ出し場に居座っていた外国人のホームレスと殴り合った後、スープを飲ませて、さりげなく「ウチで働かないか?」って、なんて良いんだ!と感動しました。物語の起点になるシーンなので一般的な山場ではないんでしょうが、このシーンにアキ・カウリスマキのあたたかさが凝縮されていると思います。
道徳的に素晴らしいとかそういうことではないんですよ。困っている人に手を差し伸ばすことは、互いに助け合って生き残って来た社会的生物である人類ならば自然とできる行為だと思うので、ヴィクストロムの行いはまぁ自然と言えるでしょう。
しかし、この娑婆世界を生きていると、身を守ったり欲をかいたりするので(それも自然だけど、自分を守る方の自然)、困っている人に手を差し伸べるような、他者への自然な良い行為ってなかなかできないと思います。しかし、ヴィクストロムは当たり前のことのようにシレッと、のっぺりした無表情でそれをやる。良い!人間って良いじゃん!しかも自然!って思ったのです。
この映画は基本的にこのような、本来持っている人間の良さが溢れているので、鑑賞後は守る方の自然さよりも手を差し伸べる方の自然さを大事に生きよう、みたいな所に立ち戻ることができたような気がします。
一方、カーリドが語る生々しい難民の物語はすごくリアル。本当に悲劇で、しょうがないとかとても言えないですよね。情報として見聞きする難民問題では、ひとりの人間の出来事として想像するのは難しいですが、当事者の語りを聞くことで彼の悲しみや怒りを感じることができる。
そして、ヴィクストロムがカーリドに手を伸ばせたのも、こういった生々しい痛みを想像できるからこそなのかもしれません。そこがまた誠実で嘘臭くない。
純粋なハッピーエンドと言えない雰囲気も、なかなかグッときました。やはり妹も強制送還なのか、カーリドは病院で手当てしてもらえるのか…ビターな後味にはカウリスマキの義憤と厳しさを感じます。
映画を観て、世界を変えるのは鑑賞者ひとりひとりの行動にかかっている、と問われているように思いました。
クラッシックなアナログフィルムのぬくもりのある映像も素敵だし、ブルース感強めの音楽も最高。犬も可愛ければカーリドの妹はすごい美人。寿司屋を含めて、間を活かした脱力ギャグもキレがあった。
あたたかいけれど甘やかすようなヌルさは絶無。生のエネルギー大爆発、みたいな派手さはないけど、丁寧で隙のない硬派な名作だったな、との印象です。
カウリスマキ監督は本作を最後に引退する、と宣言しているとのこと。しかし、映画監督とプロレスラーの引退宣言ほど信じられないものはないので、きっとそのうちシレッと、のっぺり無表情で戻って来るでしょう。
という訳で、次回作も期待してます!
いつもどおりに、あったかい
<もう一度観ました>
夜の回、観客4人ということもカウリスマキ風味を助長。
やはりしみじみ、いいです。しみじみ。
皆さんちゃんと意思があって、それを素直に露わにするのにうるさくない。
終始テンションは低いけど、そこにはきちんと生きている人間の息遣いがある不思議。
しばしば差し込まれる、人間臭いしゃがれ声の歌が、カウリスマキ的に整えられた静寂を、カウリスマキ的にぶち破る。
この安心の様式。
あと1作、撮るか撮らないか…もっともっと観たい。
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暗い原色、しみったれて哀愁たっぷりの歌、心優しく笑わない人々、いつも通りにカウリスマキは、心をじんわりとあっためてくれます。
いま、世界中で大騒ぎの移民問題だけど、人種とか国とかのかたまりではなく、人間同士の交流を見せてくれる。
受け入れる側、受け入れられる側、それぞれひとりひとりに、事情や思うところがあるという当たり前のことを気づかせてくれる。
難民は、「難民」というひとかたまりのものではない、個人個人の集まり。
それを、見返りなんか気にせず(相変わらずの)無表情でかくまう人々が、なんとも崇高に見えて。
それに対する、かくまわれる側も、感謝の気持ちを特に見せず…w
この当たり前のようなやりとりに、何故か無償の愛を感じます。
優しいなあ、カウリスマキという人は。
※日本人は2割マシで楽しめます。
もしも難民と出会ったら
観終わった後に、心が温かくなって、前向きな気持ちになれるステキな映画だった。
ヨーロッパをさまよう難民をテーマにした作品。
この難民問題は、国同士で解決すべきこともあるけれど
この映画を見る限り、個人の心の問題が大きい気がした。
必死で生きようとする人を助けるのも人ならば、差別するのも、追い詰めるのも人。
国にとっては、規則に基づいた紙の上での事務処理でしかない
例えば、捨てられていた犬を個人の判断で助けるか、処分するかの違いのように
もしも難民と出会ったら、その人に対してどう行動すべきなのか
一人一人の判断が、その人の人生を大きく変えていく。
この映画では、その問題を時には笑わせながら微笑ましく描いている
私たちは、世界各地の料理を食べられるけれど、人間同士はまだまだ越えるべき問題がたくさんある
あまりにも丁寧で素晴らしい仕事
あまりにも丁寧な映画で、丁寧にフィルム上映もされ、気を遣った字幕(サイズやフォント)で、そりゃこの中身をみたらこうあって欲しいよな、とも思う。
世界規模な問題を、庶民の中に落とし込み、笑いも意思も、静かに静かに、決して声高なことなく描き出す。こういう映画は実はそうない
ひとそれぞれいろいろあるのさ
そう言わんばかりの
無条件な善意が心地よい。
難民の苦境と
それを受け入れる国家のジレンマは
いまの世界全体が抱える深刻な問題。
国の通告の直後に流れる
アレッポの惨状を伝えるニュースが
受け入れを拒みたい国家を写し
やるせない気持ちにさせる。
欧州の閉塞感を感じる
「欧州難民」三部作の前作「ル・アーヴルの靴みがき」に比べると、欧州に来る難民の状況がさらにひっ迫していることを感じさせる。
画面は暗く、暴力の描写が多い。と言っても、そこはアキ・カウリスマキ。暴力とはいっても、人間の哀しさと滑稽さを滲ませた行為として描かれている。
画面の暗さも、物語の舞台がフランスの海辺の町からフィンランドへ移ってきたこともあるのかも知れない。
だが、妹との再会を果たしたシリア人の青年は、一体あのあとどうなるというのか。
偽造した身分証では病院で治療を受けることも出来ないだろう。
何となくハッピーエンドに見えるが、この兄妹の置かれた状況を注意深く観察すれば、彼らの未来が決して楽観できるものではないことが分かる。
救いがないのは、彼らを助けた親切なフィンランドの人々も同じである。買い取ったレストランが繁盛する保証などなく、難民でなくても生活の糧を得ることは簡単ではない。
別れたアル中の妻とやり直すことが唯一の救いであろうか。貧しいながらも家族が同じところで生きていけることへのありがたさを感じさせるラストだった。
色彩と照明の演出がとても素晴らしかった。
名作
ラストで涙が出た。
ユーモラスで温かいカウリスキ監督の世界観の延長としてその後のストーリーを思うと、あのワンコが怪我をした山田孝之(もとい、カーリド)を店に連れ戻しくれるんじゃないかしら、と想像できる。
でも、そこは描かれていない。監督が映画を終えるということは映画が終わるということだ。それ以上のストーリーは存在しない。
つまり。おとぎ話はおしまい。現実は、病院にも行けないであろう、本当に苦しんでいる人々がいるということを訴える「終わり方」だと思った。
アーティスト(発信者)としての監督が、今どうしても伝えたい止むに止まれぬ衝動を感じ、涙を禁じ得なかった。
これは難民にとっての希望だけではなく、受け入れる側の人類が見い出すべき希望の映画だと思った。
ユーロスペースで売ってる寿司屋のエプロン、買って帰りました。
IMPERIAL SUSHI
内戦で謀らずもフィンランドに密航したシリア人の男が難民申請を却下され送還されそうになる中で生き別れた妹を捜す話。
フィンランドの情勢や難民問題等を扱っているがそこに重さはなく、ストーリーそのものは特に深みも引っかかりも面白味もなく呆気なく進む。
全体的にマッタリとした空気の中に古臭くてある意味堅苦しい大昔のバラエティショーの様なハズシの笑いをたっぷりと織り込んでいるけれど大笑いするところはない。
難民の扱われ方や国民感情を表す描写は良かったけど、ストーリーにも笑いにも見どころといえる様なものはなく冗長だった。
サントラが欲しい!!
兄のM・カウリスマキの作品は無意識に何本か観てはいたがA・カウリスマキの作品は本作が初鑑賞で。
時がゆっくり進んで行く印象にドコかシュールな場面に癒されA・カウリスマキのR&Rな音楽センスに鑑賞前から信じてはいたが好みな監督だなぁと。
すんなり受け入れてしまう爺さんの心情があまり理解出来なかったが暗くなりそうな題材を感情的に小難しい感じに演出せずにほんわかと仕上げる監督の感性が素晴らしい。
ストリートミュージシャンの格好よさに自宅の室内にレストランの店内のセンスも最高。
聴いたことの無い日本語の曲も含めてヤッパりサントラが欲しくなる音楽が良い。
後、ユーロスペースで観た方が雰囲気も含めて作品の余韻に浸れたカナ。
力み過ぎのような…
難民問題を取り上げるにあたって、力が入り過ぎたようで、アキ・カウリスマキ特有の軽やかなユーモアや洒脱さが薄れてしまったようだ。掲げたテーマがどれだけ重たくても、それをユーモアで上手く包み、愛でまとめる手法が空回りしたような作品。彼独特の間も、逼迫された青いトーンの映像で、暗さが漂う。それが狙いだったのかもしれないが、鑑賞後に重たさが残る。ケン・ローチ風のアプローチにも似た手法で、このような作品に仕上げたということは、ヨーロッパに於ける難民問題は相当深刻なものだと推測出来る。極右のチンピラに主人公が刺されたシーンが全てを物語るようだ。
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