「反動も広がる欧州でのマイノリティへのあたたかい眼差し」希望のかなた SungHoさんの映画レビュー(感想・評価)
反動も広がる欧州でのマイノリティへのあたたかい眼差し
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大晦日の1本目は渋谷のユーロスペースでかかっているフィンランド映画『#希望のかなた』。中東からの難民受け入れという欧州のコンテンポラリーな問題を、ところどころコミカルなシーンを交えて描いた作品。
静かなカメラワークに、登場人物に必要以上の会話をさせず、むしろモノのアップや人の動作のカットで多くを語るミニマルな感じは、(しばらく観ていないから記憶違いもあるけれど)昔好きだったクシシュトフ・キェシロフスキの映画を思い起こさせた。
そのうえ、音楽も必要以上には流れず、路上や飲食店のバンドなどの生演奏や、ジュークボックス、ラジオから流れる音楽を除くとBGMはない。それゆえ、逆に、ところどころで登場する歌は意味を持つように感じられて、意識が向けられる。
このように基本的に静かな作品の中で、淡々と滑稽なものを畳み掛けてくる中段での演出はとてもシュール。
欧州に広がる極右主義についても触れつつ、草の根の、そしてルールからは外れているにはせよ基本的には善意によってマイノリティへ助けの手を差し伸べる一般市民たちのあたたかさが描かれている。年末に見るのに良い作品。
2017年 通算52本目(目標まで1本)
感想:★★★★☆
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