「黒人たちの生き辛さったらない」デトロイト sannemusaさんの映画レビュー(感想・評価)
黒人たちの生き辛さったらない
アメリカでジョージ・フロイド氏の死亡事件をきっかけに暴動が起こっている今、まさに観るべき作品。
これは1967年の話だけど、人権を与えられてないに等しい扱いを、現在も受けている人々が「自由の国」を標榜するアメリカにはまだまだいるのだということに昨今のニュースで愕然とし、本作でその扱いの酷さと根深さをまじまじと見せつけられた。
かといって暴動や略奪を正当化すべきというつもりはないけれど、それではアメリカンアフリカンたちの受難や、その理不尽さ、やるせなさの行き場はどこなんだろう。諦め、拗ね、耐え続ける彼らをヒリヒリしながらただ観た。
元軍人の男の、けして服従しない態度がめちゃくちゃカッコよかった。
ラリーのゴスペルには心が震えた。それは聖書の一節をなぞるだけの歌ではなく、まさに彼らが受けている受難であり、魂の叫びなのだということをしみじみと感じさせられた。
ウィルポーターはミッドサマーしかり、やな奴やらせたらホント一級品だなと感心した。彼なしにはこの作品は成り立たない。ナルニアの時も印象に残ってるけど、ホントいい役者になった。名演でした。
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