「凄かった。」デトロイト Rewind Thatさんの映画レビュー(感想・評価)
凄かった。
クリックして本文を読む
バイオレンスか、サスペンスか、そういう細かなところではなく、人間の醜さそのものを見せられた気がします。
あの一連の事件は、誰かが凶悪な思想を持って行った様な行為ではない様に思えます。
ちょっとした悪意がヒートアップし、各人の面子や責任が絡み合って最終的にあのような結末を迎えたのだと思います。
この映画の最も邪悪な点は、「警察」が起こした事件だということです。
平穏な日常を過ごす市民のモラルは、詰まるところ、警察の存在によって担保されています。
警察が全く信用できない世界では、モラルは崩壊するでしょう。
人々の良心は、それを監督する存在に寄って、呼び覚まされ機能する物の様な気がします。
通常、狂気を孕んだバイオレンスムービーでは警察は最後に出てきて救いを与える存在です。
それがこの映画では、ハナから加害者側です。そこが本当に怖かったです。
裁判の結果を判事が告げられて、取り乱す遺族を見て「今は1967年よ」というあの娘の言葉が頭をよぎります。
人々の意識に、まだついていけていない司法はその時代の矛盾と、歪みを象徴している気がしました。
コメントする