「Jimmy Mack」デトロイト いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
Jimmy Mack
小学生の頃、『スネークマンショー』に収録されていた曲が実はモータウンのガールグループ、マーサとヴァンデラス(Martha Reeves & the Vandellas)が67年に出した曲ということを今作品で初めて知って何だか懐かしい想いに馳せてしまったものである。とはいえ、そんな郷愁も吹っ飛ぶような実話を元にしたサスペンス作品である。上記のように、1967年という自分が産まれる前に起こった暴動での出来事を描いた今作は、今の時代に警報を鳴らす意味合いも多分に含まれているメッセージ性の強いスパイスに散りばめられている。前半の暴動をドキュメンタリータッチで紹介しつつ、その説明を踏まえての今作のメインストーリーである『アルジェモーテル事件』での警官による理不尽な黒人拷問殺戮シーンに展開し、ラストへの法廷劇へと場面を変えていく3シークエンスとなっている構造である。演出として、警備員、又はドラマティックスメンバーのカットが同時並行的に描かれるところが観てて散漫になってしまうきらいがあって、どちらかをバッサリ切って、逆に敵役である警官のレイシズム振りをもっと膨らませる過去エピソードがあればと良かったのではと思うのだが、やはり実際の出来事故、いくら無罪であっても相手方への取材は難しいのだろう、若しくは『否定と肯定』でもそうだったが、明らかに理不尽で不条理な判決結果である被告の言い分を聴くこと自体、相手が利する手助けになるとの判断なのだろうか・・・この不条理、理不尽は人類が生存している間はずっと付きまとうものなのだろうか。。。陰々滅々とさせられる結末である。
殺されるかも知れない恐怖を追体験するような緊迫した演出及び編集は流石、過去作に引き続き、十八番の監督なのだろう。
それにしても、ジュリー役のハンナ・マリーのベッキー激似がなかなか脳裏に焼き付いて離れないオチでもある。