「重くのしかかる」デトロイト テツさんの映画レビュー(感想・評価)
重くのしかかる
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非常に重くのしかかる映画でした。
オープニングから人種差別の歴史と事件の起こるデトロイトの街の様子、そして事件の関係者が語られていく中で、不穏で危険な空気が徐々に観ている者を締め付けていく。
モーテルに舞台を移してからは、密室劇に変わる。
そこで繰り返される罵倒、尋問、暴力…
あまりにも凄惨な展開に怒りや悲しみもこみ上げてくるようで、観ていて心苦しいくらいにも感じるほど
こういう観ていて不快に感じる描写もしっかり描かれているし、これが実際の事件というのだから、あまりにも強烈だ。
モーテルでの1件から解放されても、当事者たちの傷は消えず、本人や関係者の人生を狂わせてしまう。
裁判が行われても、真実は明かされることなく、全ては闇の中というのもあまりにも救いが無い。(彼がまた歌っているのは救いかもしれないが)
権力と人種差別の意識が暴走した警察官はモチロン、問題を認識していながら関わらなかった州警察、そしてこの問題を見て見ぬふりをする傍観者たち…
観た者に強烈に重くのしかかる作品だったなと
当事者の証言や裁判記録などを再構築したものなのでどこまでが真実なのかは分からないが、権力や人間の狂気、差別問題に踏み込んだ重いけど素晴らしい作品だった
万人が観る映画ではないだろうが、多くの人に観てもらいたい作品
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