博士と狂人のレビュー・感想・評価
全81件中、21~40件目を表示
辞書を作る
メル・ギブソンとショーン・ペンが演じていてなかなかの重厚感を感じる作品だった。
辞書を作るなんて普通に考えればすごい事ですよね。
70年かけて作り上げたそうだけど、言葉は生き物、70年の間にも新語が生まれているだろうし。
まさに狂人・変人でなければ出来ないんじゃないかと思ってしまう(^^;
日本の映画「船を編む」をチラッと思い出しました。
さすがショーン・ペン。だけど。
一言「ちょっと、盛り込みすぎるかなあ」。
実話が元です(こういうの最近多い。好きだけど)。
「世界に大英帝国・女王陛下のおことばを知らしめるために」。
オックスフォード大辞典を編纂する話。
なんですが。
言葉の文例(用法)を、国民から広く募集→本に募集文を挟む→受刑者が手にする。
メルは編纂者、ショーンが受刑者(元外科医)のWキャスト。
「獄中人と編纂者が言葉のやりとりで、少しずつ友情を育んでいく」。
そんな話を脳内で描いていたのですが、ちょっと違う。
矛先は「天下の大英帝国辞典に、獄中人が関わっていたとは何事だ!」と。
段々話が悪い方向に進んでいく、思いがけない展開。
多分戦争時にPTSDになり、神経をやられた元外科医役。
ショーン・ペンさすがのど迫力。結構引きました。
獄中での描写もご飯中には、遠慮願いたい箇所もあったり(個人的に)。
史実なのでラストは「そっか、そっか」でしたが。
辞典の話と、受刑者とその被害者の話、友情話。結構どれも重かったしなあ。
「舟を編む」の世界とは、全く異なる事を書いておきます。
おすすめではないけど、こういうことがあったを知るのにはいいかも。
イギリス映画の名バイプレイヤー、エディー・マーサンがいい仕事してました。
大辞典
確かに題名だけ見た時はジキルとハイドのお話かと。実際は学士号を持たず独学で言語学を追求するマーレー、精神を病み殺人を起こした軍医マイナーの二人の人物を中心に英語辞典を製作していく過程が描かれる。
かなり大変な作業、完成まで70年かかったと最後に触れられるが気が遠くなる。
二人とも博士であり、狂人であるが、周りの圧力もありながらも温かく守ってくれる人々もいて、紆余曲折あったが完成に向けて進んでいく。
ミスターマンシーがいい人で救われる思いだった。
勤勉に
オックスフォード英語辞典の編纂の物語。一人の学位のない学者のあきらめない志と、狂人による無私の協力によって進められた過程が驚きでもあり、またさすがオックスフォード大学と感心。
実話の難しいところは、どこまで史実でどこから製作によるものかって言うのがからないところ。この映画ではキーパーソンとなる狂人に殺された男性の未亡人と、狂人の恋ってなんだか嘘っぽいし余計だなーと思いながら、まさか本当にあったのかな、ともやもやしながら見てました。ネットで見る限り、想像みたい。だとしたら、最も不要なパートで、編纂のあたりを詳しく知りたかったな。
興味深い話だから、もう一度BBCあたりのドラマでみてみたいと思いました。
それにしてもチャーチルってだいたいどんなときでも登場するからびっくり!
実話とそうでないところの違和感
を感じた。
実話オンリーでも良かったのでは。
創作部分に無理があって違和感を感じた。
言葉の魅力に溢れていて、それは心ときめいた。
そのあたり、もう一度観たいと思う素晴らしさ。
聖書の「原初に言ありき(始めに言葉があった)」を、思い出した。
狂人
名優二人の共演、その期待に違わぬ重厚さ。
考えるのが嫌になるほど気が遠くなる作業。どのようにプロセスを構築していったのか興味がそそられる。用例があっても、その解釈は議論が必要だろうし、どのようにしたのだろうか?説明はコンパクト。ヒューマンドラマや政治劇に時間が費やされたが、マレーの挑戦にこそフォーカスして欲しかった所
言葉の天文学
個人評価:3.0
2人の名優によるなんとも骨太作品。
言葉の起源とその設計図は、天文学の様に宇宙の神秘にも迫る学問だと感じさせられる。
言葉は生きており、生物のように感じられ、知恵を身につけた人間にとって、言葉の歴史は、人間の知性の歴史とも思える。
ただ内容は興味深かったが、面白味には欠ける作品でもあった。
マレーとマイナーの固い絆に胸を打たれた…
辞書の編纂というと「舟を編む」を思い出してしまうが、もちろん両作品ともその苦労が綴られている。しかし、本作はそれ以上に学歴とか、病気とかが描かれている場面が多い。マレーは学士号を持たないゆえに、一部の学者から冷たい目で見られるし、マイナーは精神病院にいながら、その信じられないほどの言葉の知識を披露している。あの有名なOEDが何十年という歳月をかけ、ただ意味を説明するのではなく、その歴史的使用まで網羅しているのはかくも苦労があっただろうと思う。二人のがんばりがなければ、完成に漕ぎ着けなかったに違いない。しかも、二人は同じ場所で切磋琢磨した訳ではなく、お互いの場所で努力を続けたのだ。そこが尊いと私は思う。しかも、マレーはただマイナーを利用したのではなく、面会に行ったり、最後は彼を救おうとした。一緒にいなくとも、二人には固い絆があった。何てすてきな関係だろう。私は、二人が羨ましく思った。
英語辞典のドキュメンタリー
オックスフォード大学で英語辞典を作った人(人達)のドキュメンタリー作品。
まず編集責任者の語学力を紹介するシーンが有るが、英語はもちろん、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ギリシャ語、ラテン語、・・・いくつ言ったのかわからなかったが、20以上だったと思う。
まず、そんな凄い人がいた事におどろいた。
誤って人を殺した医師がボランティアでサポートするのだが、彼の読書量がまた凄い。
この殺してしまった人の奥さんに償いをする中で・・・と言う話。
博士達がオックスフォード英語大辞典の出来るまでの過程を描くとともに、ロマンスも絡め見応えある作品だった。
才能をおそれる。
「畏敬」には、おそれる、という言葉が入っているけれど、狂気のような才能を前にすると、人はおそれてしまうのかもしれない。
人がもつ役割と情熱が重なる美しさと、おそれや嫉妬などの気持ちからくる攻撃の対比に胸が痛み、感動がありました。
「舟を編む」とはまったく異なる辞書製作。世界初は、苦しく、先が見えず、理解が得られず、それだからこそ尊い。
人は言葉によって世界をつかむけれど、だとすれば辞書は世界を拡げてくれるツールで、それをつくる方々への感謝が生まれました。
天才は異次元
この作品を見て、凡人の私は住む生活が違うと感じ、現実だけどふと別の世界のファンタジーのようなものすら感じる。
博士と狂人二人の異次元の二人が二人しか分からない境地で共鳴していく世界観。現実離れしてるようで実在で神秘の世界に引き込まれる感じがする映画でした。
ただただひたむきに己の信じる道を進み続ける二人は平行線のようで繋がってるようで二人にしか理解できない世界観。でも見てる人が心打たれる。
多分各々そういう面を持ってるからこそ憧れて共感するのではないかと感じました。
邦題からはどんな作品か想像がつかなかったんですが重厚で見応えのある...
邦題からはどんな作品か想像がつかなかったんですが重厚で見応えのある作品でした。ショーン・ペンの凄まじい演技とメル・ギブソンの二人に魅力されましたしエディ・マーサンも素晴らしかった。世界最大の辞典作りを通して描かれる友情と、もう1つのテーマでもある「赦し」にも心をゆさぶられました。大臣のシーンも胸熱だったなぁ。
下調べ必須作品
この作品は前もって原作を読むか、ある程度下調べをしてから鑑賞してください。
シェイクスピア時代までさかのぼるような、全ての言葉を収録するといった英語辞典の作業なんですが、頻繁に出てくる英単語のやりとりは、字幕があってもチンプンカンプンでしたし(殆どの方がそうだと思いますが)、ストーリー展開も早くて、感情移入ができないままに終わってしまい、とても悔しい思いしか残っていません。
精神を患ったショーン・ペンの役どころが見事だったし、彼を慕うメル・ギブソンも良かったのですが、なんせ作品の流れについて行けず、置いてけぼりを食らった感。
これは下調べをしてから再鑑賞しますよ。
すばらしい作品だということはわかりました。
時代背景を知っておくとさらに楽しめる
本作は、時代背景を知っておくとさらに楽しめる。英国は、英語辞書(英英辞書)を作ることに、なぜこんなに熱心だったのか。時代背景は、以下の通りだ。
産業革命(1760~1830年)によって、世界の覇権がオランダからイギリスに移った。植民地は、アメリカ大陸、インド大陸をはじめ、世界中に広がり、最盛期には世界の1/4の面積および人口を占めた(本作の中でもセリフあり)。つまり、英語はこの時期に急速に世界に広がった。世界の1/4の人口が英語をカタコトで話し始めたということだ。彼らを植民地として統括する大英帝国として、"正しい英語" を普及することは必須であり、かつプライドがかかっていたということ。
そして、オックスフォード大学の学者に任せていたが、絶望的な敗北、つまりちっとも進まない。誰かいないかと白羽の矢を立てられたのが、スコットランドの仕立て屋の息子で独学による学位ももたない研究家だが多くの言語に堪能なことは有名な主人公マレー。"正しい英語" を確立する、という目標に対し、主人公は、「言葉は少しずつ変遷する。だから、全ての世紀の本を読むことで、すべての単語で、過去からの意味の変化を記録する」 という壮大な策を実行する。学者だけでなく、書店や学校といった、言葉に触れる場から 1,000人のボランティアを募って進めるも、17~18世紀に関する裏付けがほとんどとれずに、作業はまったく進展しない。そんな中、殺人を犯し犯罪病院に入院している元学者マイナーから、大量の引用が届き、作業が進みだす。ふたりは、協力し合って、「英語を大空へ押し上げる」 行為が実を結び始める・・・という話。元学者と元学者が犯した殺人の被害者の妻との関係の変化が並行して語られ、あっという間の124分。
辞書を作る話と言えば、邦画には名作 「舟を編む」 がある。あれを観た人は本作にもすんなり入りやすいように思う。(かといって、事前にみないとわからないということは決してない)「辞書作りなんてことに必死になるのか」 という思いもあるだろうが、逆に考えると、「どんなことでも、全身全霊を込めて取り組む話は、映画にすると人の感動を呼ぶ」 ってことじゃないだろうか。
引用から辞書を作り上げようという映画だけに、心に響くセンテンスが目白押し。「Art:その意味は、『闇を恐れることなく、真実を見つめる』」、「人生は肝要と慈悲の下にある」、「言葉の翼をもてば、世界の果てまでも飛べる、私たちの頭の中は、空よりも広い」 等、次から次への繰り出される。それがまた、元学者と被害者の妻の関係と関連して、心に響くんだ。
ぜひ、観てください。どちらかといえば、"静かな淡々とした映画" の部類に近いかなと思うけれど、観て損しないと思います。
おまけ1
イライザ役の女優(ナタリー・ドーマー)、とても魅力的でした。
おまけ2
ちなみに、英国の時代背景をみている際に、下記のような記述を目にした。英国によって、海底ケーブルがいかにして敷かれたか、だ。
----(ここから引用)-----
イギリスでは鉄道と電信は同時並行的に発達した。電信は、鉄道の情報を送るために必要であった。シンガポール経由でイギリスにもち込まれた、マレーシア原産のガタパーチャというゴムに似た個体の素材は,海底の高い圧力・低温でも,ゴムと違って長年にわたり可塑性があるため,海底通信ケーブルが実現した。イギリスは帝国を形成したからこそ,海底通信ケーブルの敷設が可能になった。1857年に初の電信に成功,イギリスの電信ネットワークは,オランダ,ドイツ,オーストリア,サンクトペテルブルクにまで及び、さらに1866年には,大西洋を横断する海底通信ケーブルが敷設された。平均水深が4000~5000メートルと深く,大型の蒸気船での敷設が必須。つまり,蒸気船の大型化も意味したのである。1865年にはインドとの,1872年には,オーストラリアとの電信ができるようになり、世界は,イギリス製の電信でおおわれた
----(ここまで、「世界史研究最前線」(京都産業大・玉木教授)のホームページから引用)-----
これはこれで、実現までの苦労と達成したときの喜びがしのばれる。いつかきっと、誰かが映画にしてくれるだろうと期待する。面白そうじゃないですか?!
実はかなり深いんだろう⁈
鑑賞してから,かなりの時間が経っちゃっているが、色んな人のレビューとか見ると,只単にショーン・ペンが好きだから…なんて巫山戯(ふざけ)た理由でのレビューは許されないものかと思わされていたので、少し遅れ,あまり記憶がアヤフヤ状態のレビューになる事を許して欲しい。
趣旨から,馬鹿デカい事(人が本当の意味を知る為)の所謂「辞書」を創る事を、あんなに濃い内容になって居たなぁ⁉️何てテキトウ(適当)な記憶が残った事&未だ出来て1年半位らしい,雰囲気?を気に入った“キノシネマ"という映画館で観た事を,私事で申し訳無いが、自分自身の為にも記録させて戴きました。
全81件中、21~40件目を表示