「今週(10/16(金))の週に埋もれた名作。お勧めです。」博士と狂人 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
今週(10/16(金))の週に埋もれた名作。お勧めです。
今週は鬼滅の刃もあり映画館もこみこみですね。
こちらの映画、見たかったいつものtohoシネマズでやっていなかったので、他の映画館にいきました。埋まり率25%くらい。
多くの方が書かれている通り、史実を元にした内容です(多少は着色しているのだと思いますが…)。
「オックスフォード英語大辞典」といえば、ちょっとした書店の英和辞典・英英辞典のコーナーなら置いてあり、特にTOEIC受験が盛んな日本では、決して英語初心者の方が手に取るものではないかと思いますが、中級以上の方は必ずメーカーは別にせよこの類の辞書をお持ちのはずで、私もその1人です。
※ なお、当方のスペックは英検準1とTOEIC900超えです。
文法というより「一部にマニアックな語彙」が出てくるので(「英英辞典」を編纂する、という事情から)、TOEICよりも英検よりの高い語彙がもとめられます。
内容はもう、大満足ですね。
あの辞典に史実があることは見に行く直前に調べて知っていたのですが、「あそこまで」複雑な史実があったとは思わず(さすがに書きにくい内容も含まれている…)、また一方で、単に本、例えば小説等を出版するというのとは違い、語の定義を定める「国語辞典」なるもの(ここでは、広義的な意味。英語圏視点では英英辞典は国語辞典になる)ものの出版は当然ハードルが非常に高く、しかもその初版はかなり前。インターネットがある前の時代で、情報を郵便や(町の)掲示板でボランティア的に広く集めていた、そんな「古い古い時代の技術しかない」世界です。
そんな時代に、あんな史実に基づいて今の多くの方が知っている英英辞典ができたことに驚きました。
内容はどうしてもこうした事情があり、英語全般(特に、単語関係。英検1/準1程度の定義の語をどう採用して載せるか、等の話がバリバリ出てくる)のみならず、裁判関係、思想関係(当時の社会・政治思想等)、果てには他言語(から、英語に取り上げられたものに関するお話)などにも及び、いわば「文系版エジソンズ・ゲーム」といえるでしょうか。それが今の直流/交流の基礎を築いたのと同じように、この辞典も今でも息づいているからです。
採点は下記0.2の減点で4.8、5.0まで切り上げました。ただ、大きな傷ではないと思います。
0.2 … もちろん、「今の」私たちには、国語辞典(英和、英英)がどれだけ大切か、そのことは十分わかるのですが(もっとも、今ではネットのフリーコンテンツで調べる人も多いですよね…)、あの当時は「ふーん、そんなのもあるんだ」という人(使えればいいでしょ、なんであんな何年もかけて何冊もかけて(a~c、d~f…というようにアルファベット順で何冊にもなっていた。今ではiPhoneアプリ等だとそんなことは気にならない)作らなきゃいけないの?(=作るのは自由だけど、出してどうするの?)という、至極当時の「一般市民」が思うであろう観点からの描写があまりなく、もっぱら「出版社と協力者」側の視点からであったために、ちょっとこの点、その「当時の国語辞典(=英英辞典)はどれだけ需要があったのか、そもそも(一般大衆に)評価されたのか」という点の描写が薄かったです。
ただこれも常識的に考えれば、確かにアルファベット順で10冊もあれば「本棚にしまうのも面倒」というのは分かりえても「いつかは役に立つ、今は邪魔だけど、50年、100年単位でみれば国語(=英語)の発展に役に立つ」と一般の市民層は考え得たはずであり、そこはまぁ、読み取ることができうるかと思います。