劇場公開日 2018年3月10日

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「緻密な計画の背後にあるヤクモの決心」去年の冬、きみと別れ R41さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0緻密な計画の背後にあるヤクモの決心

2024年9月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

かなり凝った作りの作品
単なる恋愛ドラマだと思って見ていなかったが、壮大な復讐の物語だった。
この作品は推理作品だと思う。
そして、カギは最初から主人公が持っていた。
主人公ヤクモ
彼がなぜあの出版社を選択したのか、編集者小林の正体
そして何よりも凝っていたのが婚約者ユリコの正体だ。
目が見えない吉岡アキコとの出会い。
数少ない点字図書
ヤクモ つまり当時のナカゾノが手掛けた外国の小説を点字にしたことで、アキコとの出会いとなるのも非常に巧みな設定だ。
そして強烈だったのがアキコの死の真相
小林とアカリで拉致し、泣き喚いて使い物にならなかったから火をつけた。
それを知ったナカゾノは故郷金沢に一旦帰省し、想い出の浜辺で「化けモノになることを決めた」
この時ナカゾノは名前をヤクモに変えたのだろう。
復讐すべき3人 その方法を思案し続けた。
ヤクモのした復讐
アカリに火をつける あたかもそれをアキコに見せかけて
その様子を小林に見せつける。
夢中で姉の焼死シーンをカメラに収める木原坂
そうして真実を記載した「本」
タイトルのない白紙の表紙
見開きに記された「ふたりのYKへ そしてAYに捧ぐ」
二冊しか作らなかった本
吉岡アキコに捧げた小林と木原坂に読ませるための本
さて、
ある種の良心というものを抹殺したナカゾノ
彼女アカリを想うゆえに、アカリの死の真相を知った後、彼女と別れる決心をした。
この部分は非常にリアルに描かれている。
復讐のために別れたのだ。
化け物のような奴らに復讐するためには、それ以上のバケモノになるしかない。
徹底して純粋なバケモノとなった彼が仕掛けたトリックは見破れない。
それを本にして二人に読ませた効果は絶大だ。
さて、
彼は吉岡アキコの焼死事件の真実を記事にした。
すでに書籍化も決定した。
そこにはそれ以外の真実は書かれていない。
表紙のない「本」
イニシャル表記では証拠にならないのだろう。
おそらく登場人物すべてがイニシャル表記されているのだと推測する。
内容の違う二冊の本
一つがヤクモ記者の追った事件の真相
もう一つがナカゾノがアキコのために成した復讐劇の真相
当事者にしかわからないことで、おそらくすでにアカリの遺体は焼却されてしまったのだろう。
ヤクモの記事はどこまで真相を記載したのだろう?
50人分の証言で収めてしまったのかもしれない。
しかし、
アキコが交通事故にあうが、まったく大したことはなかったにもかかわらず、ナカゾノがその後ストーカーのように彼女の後を付け回す心理は理解しにくい。
彼女は彼の気配を感じ彼に言う。
「私は子供じゃないのよ。何も見えてないのはあなたよ」
彼女は自分自身が彼のしていることによって苦しんでいることを吐露するが、この二人の恋愛の感情の起伏がよく理解できなかった。
そのシーンが必要だったのは、「別れ」の演出だと思われるが、描写表現としては荒すぎると思う。
視覚障害者に多少の危険が伴うのは当然だし、今までもそうだったはずだ。
設定上、彼が彼女を好きであり続けなければならないことと、別れざるを得なかったことが必要なわけだが、このプロットは確かに難しい。
彼には彼女の居場所さえわかってはいけないのだ。
しかし、視覚障害者の婚約者をストーカーする行為は、彼もまた木原坂と似たところがあると考えてよさそうだ。
物語は基本的に人が描かれる。
この作品の中で見たナカゾノという人物の純粋なるバケモノは見事だったと思う。

R41
seiyoさんのコメント
2024年9月22日

こんにちは~。
こちらこそいつもありがとうございます。

すっかり内容は忘れていますが、自分
点数がけっこう辛いですね

この頃から映画が好きになった時期です。

文字化けしていますね
ガラケーでした

seiyo
琥珀糖さんのコメント
2024年9月22日

ミステリーとして完成度と衝撃性があり、
満足度が高いですね。
タイトルに“ヤクモ“と書かれていても、
俳優名を書いてなければ、“それ誰?“となりませんか?
私には分からなかったもの。
みんな過去に観た映画なんか、結構忘れてます。
岩田剛典でしょ!!
それが誰に対しても、“親切“・・・ですよね。

琥珀糖