婚約者の友人のレビュー・感想・評価
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La Marseillaise
第一次大戦後のドイツで、戦死した婚約者の両親と共に暮らす女性の前に、婚約者の友人であったというフランス人男性が現れ交流していく話。 ミステリードラマと紹介されているけれど、ミステリーの要素はほぼ無く、ヒューマンドラマか恋愛映画という感じ。 時代設定とドラマの展開や見せ方に映像がモノクロメインであることもプラスして半世紀ぐらい前の様な雰囲気。 主人公の思いやりと抱え込み、許しと赦し、変化等、面白い部分もあったけれど、婚約者の友人の言い分が終始あまりにも身勝手過ぎるし、それをあっさり受け入れるし、ちょっと白けた。
予告編のようなミステリーでは無い
本作のミステリー要素は導入部くらいなので、その方面を期待して見ると拍子抜けすると思います。予告動画を見ると「謎が謎を呼ぶ」とか言ってて、ちょっとミスリード予告かなと。 この映画はエルンスト・ルビッチ監督の「私の殺した男」(1932年/アメリカ)と原案を同一にする作品です。従って、「戦争の残した傷痕」「国民間の感情的なわだかまり」「戦死者に対し、誰が責を問われるべきか、その償いとは」といった主題は原作において、更には「私の殺した男」という優れた映画において充分に語られています。なので今更そういう視座でこの映画を評価してもなーという感じで、私自身は専ら映像表現と改変部分について期待して見ました。まあ結論から言うと、いまいちピンと来なかったですね。 モノクロとカラーの使い分けについても、例えば、一方を希望、一方を絶望にするとか、回想と現在、虚構と現実、戦中と戦後で分けるなど意図があるのかと思いつつ見ていましたが、特にそういった使い分けもなく、その演出意図が判然としません。もちろん綺麗は綺麗なのですが、単なるファッションでやっているなら、拍子抜けです。ストーリーの改変部分についても、どうしてこうなった・・という感じ。冷静に考えたら身勝手な男だなーって。でもまあピエール・ニネが美しいから、その辺を中心に見て、興味が湧いたなら「私の殺した男」と見比べてみるのもいいかも知れませんね。 そうそう、ピエール・ニネがヴァイオリンを弾くシーンは巧かったです。弦を押さえる左指の動かし方、ヴィブラートのかけ方がそれっぽかった。お芝居でヴァイオリンを弾くと弦を押さえる左指や、弓を持つ右手の動かし方が全然なってなくて嘘くさい感じになりがちですが、本作では割と様になってました。
敢えて、自主自立自衛
大変難しい映画だった。沢山の課題を突きつけ、見事に加害者被害者、勝者敗者、嘘真実、男女などの両面両極を描き切っている。 映像も同じように仏独、白黒カラー、自然と破壊が意図的に織り成されている。 最後は婚約者が好きだと言っていたルーブル美術館に掛かるマネの絵画を観に行く。 そして婚約者はこの絵か好きだと言う。 その瞬間に鑑賞者はこの映画の全ての場面が走馬灯のように回想し彼女の真意とその言葉を発した時のその表情を察してこの映画の評価を決める。 それが、自主自立自衛、3.5だ。 私にしては高い方だ。多くの人の4.5ではないだろうか。 何故なら、ルーブル美術館を疾走する場面が出てくる。 それは今では考えられない展示方法に名画を模写する人達、広々として延々に続く絵画の回路。 酒場で声高らかに勝者が歓喜して歌うラ マルセイーズのスタンディング。 まだまだフランスが強くて美しい時代だった。
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