ムーミン谷とウィンターワンダーランドのレビュー・感想・評価
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ムーミンは、孤独に冬のある日に突然起きてしまう。 真っ暗な家の中。...
ムーミンは、孤独に冬のある日に突然起きてしまう。
真っ暗な家の中。外も真っ暗。トゥーリッキ(おしゃまさん)どの出会い。空気が読めず、誰からも煙たがられるヘムレンさんが登場する。しかし、彼を密かに慕うサロメちゃん。
冬の中で懸命に生きる彼らの姿を、描いていたと思う。『ムーミン谷の冬』それが始めて読んだムーミンシリーズだった。それとは、だいぶ違うお話と思った。でも、サロメちゃんが『ちょこっと』登場したので、別の話として、評価する。原作の挿絵をベースにアニメを作っていた事も評価したい。美しいストップモーションアニメだと思う。
アニメーションの不器用さも含めてムーミンの醍醐味
最近はCGアニメーション主流の一方で、ストップモーションアニメーションも勢いがあって、最近では「KUBO クボ 二本の弦の秘密」があったし「ウォレスとグルミット」に至ってはオスカーも受賞したりしてるわけだけれど、そんな中でこの「ムーミン谷のウィンターワンダーラント」はストップモーションアニメとしては精度が低く粗も目立つのは否めない。フェルト生地のペラペラの布が目に見えるようなアニメーションだし、近代の他のストップモーションアニメーションに見慣れているとどうしても見劣りがしてしまう。そのため最初はちょっと違和感があったのだけれど、どういうわけか、次第にこの作品のアニメーションのぎこちなさも含め、私たちが抱いている想い出の中の「ムーミン」のイメージと重なり合ってきてきて段々気持ちが落ち着いていくような、ふと心が安らいでいくような気持にさせられてくるのも感じていた。子どもの頃、まだ名称が「Eテレ」に変わる前の「教育テレビ」で製作された人形劇でも見ているような感覚とでも言うのだろうか?
毎年、冬は冬眠していてクリスマスを知らないムーミン一家が初めて過ごす「クリスマス」の夜。「クリスマスさん」を招待する為にと見当外れなことをしながらも、ツリーを飾りごちそうを用意し美しいクリスマスの夜が用意され、そして最終的にはクリスマス精神に立ち返っていくという、実にクリスマスらしい映画になっていて、12月のこの時期になるのにぴったりの作品うれしくなった。それに、こういった素朴なストーリーを描くのに先進的なCGアニメーションよりも、こういったちょっと不器用なくらいのアニメーションの方がちょうどいいような気分もするものだ。「ムーミン」の物語らしく、ちょっとナンセンスなストーリーの奥に、ふとした深遠さを感じる雰囲気も含め、「ムーミン」映画としての安堵を感じる作品で、クオリティや質は脇に置いて、決して嫌いではなかった。少なくとも数年前のただナンセンスなだけだった「ムーミン 南の海で楽しいバカンス」よりはよっぽど良かったと思う。アニメーションとしての精度は技術的に見て「南の海~」に軍配が上がるかもしれないが、作品の内容と思えば個人的にはこちらの「ウィンターワンダーランド」の方が圧倒的に好き。クリスマス気分に浸りたくて選んだ映画だったので、その願望は十分に満たされたし、「ムーミン」に感じる郷愁も手伝って、なんだか優しい気持ちになって映画館を出ることが出来た。たまにはこういう映画を選ぶのもいい。そう思える作品だった。
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