劇場公開日 2018年6月1日

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「主人公の筋肉と車のカッコ良さと、だがしかし。」OVER DRIVE お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0主人公の筋肉と車のカッコ良さと、だがしかし。

2020年7月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

メカニック東出昌大とドライバー新田真剣佑の兄弟が、「ある」理由から同じラリーチームに所属して頑張る、というお話です。

新田サンはアクション俳優の千葉真一の息子で、鍛え上げられ皮下脂肪のない見事な身体を、サービスシーンさながらに(ほとんど無意味なレベルで)見せてくれちゃいますので、ストーリーと無関係に、そういう裸体がお好きな人たちにはたまらないのかも知れません。

ただ、ね。

この二人のセリフまわしが、必死でセリフを覚えてなんとか間違えないで頑張ってます的な匂いが強過ぎて、観ている側としては「ダイコン役者臭」に衝撃を受けること請け合いです。

ストーリーも、はいはい皆さんこれが伏線ですよ試験に出ますから覚えておいてね的な、正直言って「つまらない」レベル(酷いレベル、とまでは言いたくないが……)のシナリオであり、日本の映画界の最大の弱点(シナリオにお金も時間も掛けてないでしょ)がモロ見えなのでした。
おい、それをセリフだけで処理するか、というシーンが山のようにあって、辛過ぎ……。

東出サンは一人の人間の人生を潰してしまったことをセリフの中で告白しておきながら、そのことへの反省も、重大さへの認識も持っていないのは、こりゃ重症だな、と。
(シナリオライターも映画の監督も気がついていないのかも知れませんが、例の部品の開発成功は、他人の人生を潰して踏み台にしたお蔭、というストーリー展開なんですよ。罪悪感のカケラも感じてないみたいですけど……)

もっとも、主人公はこの二人のどちらでもなく、実は「ラリー車」なんですよね。
ラリーカーの走りが、これでもかというぐらいカッコ良く撮られています。
スタント運転手が本物のラリーのチャンピオンなので、上手い運転のカッコ良さを知らない人たちに見せつけるという意味では大成功している映画なんだろうと思いました。

これを観て、ラリーの世界を目指す人や、特にラリーのメカニックを目指す人も増えるだろ的な下心がとてもよく見えます。

とりわけ最初から最後までトヨタ社長の豊田章男サンの喜んでいる顔が脳裏に浮かぶ映画だな、と思っていたら、エンドロールには、やはり豊田サンのお名前が。

広告効果は充分の映画なのでポンとお金をお払いになったのでしょうが、忙しいことは百も承知ながら、どうせなら映画の中にも主要な役回りで出ていただきたかったものだと思いました。

新田サンの隣に座る「ナビゲーター」役なんかで出てもらったら、この映画のヒット状況は10倍は違っただろうに、と、残念でならないです。

お水汲み当番