グレムリン2017 異種誕生のレビュー・感想・評価
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『紛らわしいタイトルと共感出来無い人達の狂宴』
自宅(CS放送)にて鑑賞。邪神と説明される謎の生物が入ったタイマー附きの箱に纏わる物語。プロット的に無理があり、突っ込み所満載な穴だらけの描写や展開の連続だが、そもそも設定や背景が薄っぺらく説得力や臨場感に欠ける。共感出来無い登場人物達の言動はもとより、画面や演技を含めたキャスト陣も著しく魅力が乏しい。警察に疑われるから、頭がいかれてると思われるからとせっせと死体を地下室に隠し、遺体に話し掛ける家族達──あなた方は充分狂っており、異常者です。たまたま手にした次の犠牲者へと渡るだけのラストも中途半端で歯切れが悪い。30/100点。
・クリーチャーはどことなく『クローバーフィールド/HAKAISHA('08)』や『SUPER 8/スーパーエイト('11)』に出て来るのを彷彿させるが、シルエットやフォルムはカマドウマに近く、頭部を除き虫っぽい印象。四肢の附き方は、『貞子3D』シリーズ('12・'13)に登場する“貞子”にも似ている。ちゃんと対象者が愛する人から受け取ったかを判別する誰得な能力を持ち合わせるが、物理攻撃は応えるらしく、逃亡する事もある。クライマックスで巨大化する意味や意図も不明で、箱に戻るタイミングもよく解せない。
・例によって便乗商法な邦題かと思いきや、原題が"Gremlin"であった。そもそもグレムリンとは飛行機に纏わる邪鬼の一種とされ、R.マシスンが'62年に発表した短篇"Alone By Night(日本では'72年に『二万フィートの悪夢』、'94年に『高度二万フィートの悪夢(別人による再訳)』として紹介されている)"に登場した。これを原作にTVアンソロジー『ミステリー・ゾーン(原題"The Twilight Zone")』シリーズ('59~'65)のシーズン5 第3話(シリーズ通算第123話)『二万フィートの戦慄(原題"Nightmare at 20,000 Feet")』として映像化され、'63年10月11日に米国で放映された。更にオムニバス映画『トワイライトゾーン/超次元の体験('83)』の一エピソードとして、第四話にTV版と同タイトルでG.ミラーがリメイクしている。その後、これらとは全く関係の無いUMAの物語として『グレムリン』は二作('84・'90)映画化された。本作で描かれるのも飛行機には無関係な上、先述した過去の諸作と何の繋がりも無い。
・鑑賞日:2018年11月7日(水)
しつこい箱
箱から飛び出した小モンスターと戦う老夫婦のオープニング。そのジムが母が住む、アダムとジュリーのタッチャー家に箱を持ってきたのだ。「逃れるには愛する人に手渡す」と言い残して。
アダムは会社の美女と不倫中。16歳の反抗期アナはボーイフレンドのタイラーと一緒に家出して、妊娠を彼に告白。幼いチャーリーは寂しがり屋。そんな一家で祖母が何者かに殺されてしまう。チャーリーは小さなモンスターが殺したと告げるが誰も信じない。腹を空かせたアナとタイラーが戻ってきて、いきなり箱からモンスターが現れ、タイラーが殺されるという序盤の展開。
こんな小さいモンスターに遭遇しただけなのに家族が一斉に逃げるというのもなんだかおかしいし、タイラーが殺されたのに「俺たちが疑われるだろ」と、救急車も警察も呼ばない家族。死体は地下室にかくしてしまった。ジムに箱を返そうとしたが彼は銃を突き付けて脅すだけ。しょうがないので箱は湖に投げ捨てたアダム。しかし、箱は戻ってきた。ハンマーで壊そうとしても火をつけても壊れない。やっぱり愛してる人に所有権を移さないと呪われたままなんだ・・・「そうだ、不倫中のナタリーに渡そう。」って、モンスターと不倫を一気に解決しようとおバカな発言をしたアダムに対して、妻ジュリーは怒る。銃で攻撃しても弾は当たらない。苛立つ夫婦の葛藤をよそに、娘のアナが次なる犠牲者に・・・。
娘のアナまで地下室に隠すんか!この夫婦。そして、ついにナタリーに渡すことに同意した妻ジュリー。ナタリーに箱を渡そうとしたのに、結果はモンスターがナタリーを殺しただけ。「愛してると思ったんだけど、ナタリーは単なるセフレだったんだよ」と言いたげなアダム。そうこうしてる間にも魔物の箱はしつこくタッチャー家に取りつき、ついにはジュリーまでもが魔の手に・・・残されたアダムとチャーリーの運命やいかに!
モンスターパニックを装った、恐怖のアイテム“箱”という不条理ホラー。主人公のアダムのバカさ加減を笑うもよし、所有権移転というロジカルな恐怖を味わうもよし、家族崩壊と再生に涙するのもよし、といった詰め込みすぎB級感満載作品。最後に頑張ってきたパターソン刑事に所有権が渡ったときの表情が印象的だ。笑える。
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