「しつこい箱」グレムリン2017 異種誕生 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
しつこい箱
箱から飛び出した小モンスターと戦う老夫婦のオープニング。そのジムが母が住む、アダムとジュリーのタッチャー家に箱を持ってきたのだ。「逃れるには愛する人に手渡す」と言い残して。
アダムは会社の美女と不倫中。16歳の反抗期アナはボーイフレンドのタイラーと一緒に家出して、妊娠を彼に告白。幼いチャーリーは寂しがり屋。そんな一家で祖母が何者かに殺されてしまう。チャーリーは小さなモンスターが殺したと告げるが誰も信じない。腹を空かせたアナとタイラーが戻ってきて、いきなり箱からモンスターが現れ、タイラーが殺されるという序盤の展開。
こんな小さいモンスターに遭遇しただけなのに家族が一斉に逃げるというのもなんだかおかしいし、タイラーが殺されたのに「俺たちが疑われるだろ」と、救急車も警察も呼ばない家族。死体は地下室にかくしてしまった。ジムに箱を返そうとしたが彼は銃を突き付けて脅すだけ。しょうがないので箱は湖に投げ捨てたアダム。しかし、箱は戻ってきた。ハンマーで壊そうとしても火をつけても壊れない。やっぱり愛してる人に所有権を移さないと呪われたままなんだ・・・「そうだ、不倫中のナタリーに渡そう。」って、モンスターと不倫を一気に解決しようとおバカな発言をしたアダムに対して、妻ジュリーは怒る。銃で攻撃しても弾は当たらない。苛立つ夫婦の葛藤をよそに、娘のアナが次なる犠牲者に・・・。
娘のアナまで地下室に隠すんか!この夫婦。そして、ついにナタリーに渡すことに同意した妻ジュリー。ナタリーに箱を渡そうとしたのに、結果はモンスターがナタリーを殺しただけ。「愛してると思ったんだけど、ナタリーは単なるセフレだったんだよ」と言いたげなアダム。そうこうしてる間にも魔物の箱はしつこくタッチャー家に取りつき、ついにはジュリーまでもが魔の手に・・・残されたアダムとチャーリーの運命やいかに!
モンスターパニックを装った、恐怖のアイテム“箱”という不条理ホラー。主人公のアダムのバカさ加減を笑うもよし、所有権移転というロジカルな恐怖を味わうもよし、家族崩壊と再生に涙するのもよし、といった詰め込みすぎB級感満載作品。最後に頑張ってきたパターソン刑事に所有権が渡ったときの表情が印象的だ。笑える。