HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話のレビュー・感想・評価
全11件を表示
感情が画面から溢れ出る
身内を殺されたら、犯人に死刑を望むだろうか?
望むとすれば、それはとても感情的で暴力的ではないだろうか。
犯人に罪と向き合わせることがイコール死刑ではない、何が犯人に必要なのかを考えさせられる作品でした。
低予算で作られただろう映画作品だが、
その分、不必要なモノは無く、役者の感情表現が画面一杯に溢れている。
実に映画らしい映画なのではないだろうか!
感情に向き合うことの困難さを見事に
これは面白い!
予想を上回る面白さ
死刑囚と被害者の母との対話という映画紹介から社会派の固い内容かと思って観に行ったら、一人一人のキャラクターの立った人間ドラマと一つの謎が最後まで引っ張るミステリー的な面白さを兼ね備えた秀作だった。無駄な説明セリフやナレーションがなく役者さんの演技と演出で勝負しているのが潔い。
あえて苦言を呈するとHer Motherというヒロインに主眼を当てたタイトルよりMothersとかFamiliesの様に登場する人達それぞれのドラマである事をアピールするタイトルだったら観客の受け入れ方がもっとスムーズだったのではないかと思う。
新宿のケイズシネマも小さいながらも綺麗でシートの大きい快適な劇場だった。落ち着けるこの空間で各国の映画祭での受賞もあると聞くこのチャレンジングな作品を楽しんで欲しい。
親の愛情
もしあなたが主人公と同じ立場に立たされたら、どうしますか?…そんな...
それぞれの母の想いに泣け、死刑について再考
終始、緊張感を持って観た。
娘の母親は、自分の思いを共有できる相手が犯人だけだから、と何度も面会するのは自分には理解しがたい。
何故、殺人に至ったか?を知りたいのなら暗証番号を早く聞き出す努力をするか解析にも出せたはず。娘の悪の部分を否定したかったのか?
娘のメールを見た時の母親の表情に、もっと他の深い理由があるのか?と思ったが、そこは映画では表現されていないので少し疑問が残った。
最後の、犯人の母親のひとこと、そして悲壮な脱力感を見せた後ろ姿は印象に残る。
どんな人間にも母親はいる。どんな罪を犯しても母は子を想うものだ・・・
親と子の絆の深さに涙が止まらず、また死刑制度について新たに考えるきっかけになった。
上映回数も、もっと増やして欲しい映画である。
「三度目の殺人」も観て
同じ殺人と死刑をモチーフにした「三度目の殺人」と「HER MOTHER」を観た。
「弁護に真実など必要ない」と言い切る弁護士が、弁護を担当する殺人犯に翻弄されつつ、
ある境地にいたる「三度目の殺人」。
知能犯が合理主義的な弁護士を深い迷宮へと誘い込む。
司法システムの矛盾をヒューマニストの目線から描いた大傑作である。
しかし、私の心を掴まれたのは「HER MOTHER」。
「HER MOTHER」では、主人公の母が、殺害された娘への愛と、
ある理由から沸き起こるその犯人への共感で引き裂かれそうになっていく様を容赦なく描く。
彼女は他者を見つめ、娘に対する盲目的な愛と向き合おうとしている。
その苦痛にまみれた表情が私の心を揺さぶった。
不足
全11件を表示