「油断していると斬られそうな緊張感が持続する」汚れたダイヤモンド ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
油断していると斬られそうな緊張感が持続する
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ダイヤの原石のような美しい異才ぶりが充満している。だがその先端は実に鋭利で、油断するとこちらが斬られるような緊張感が持続してやまない。目の覚めるような鮮烈な色使いと、緻密に計算されたアングル。そこにうごめく怪しげな男たち。時折差し挟まれる容赦なきショッキングなシーンに心臓が飛び出しそうになり、またそれを押し戻しながら、事態の展開を見つめてしまった。思えばダイヤを扱う犯罪映画は数多いが、これほどダイヤ業界の内部を描き出すストーリーも珍しい。多くの線路(人生)が混じり合い、やがて集約されていく終着駅。果たして親から受け継いだ“一族の血”と、親代わりの男から注入された“育ちの血”、そのどちらが勝るのか。オーソドックスなテーマではあるものの、それを寡黙かつ洗練された語り口で浮き彫りにしていく過程にアルチュール・アラリ監督にしか成しえないセンスと大胆さを感じた。極めて中毒性の高いノワール作品である。
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