さよならの朝に約束の花をかざろうのレビュー・感想・評価
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不老の民が子どもを育てる話
成長しない親が子を育てる難しさを描いている泣ける話。別れを告げる一族が悲しいだけじゃない別れを告げるまで。
オリジナルの話であるにも関わらず世界観をつかむのに難あり。登場人物の背景が薄い。キャラが多いが重要なのは三人。不老の民と対比するように出されるレナトと言われる生物の扱いが雑。
イオルフ=映画鑑賞者という構図が生む没入感
見るまではよくある中世風ファンタジーかなと思って正直舐めてました。
まずこの映画には本当にたくさんのテーマがある。イオルフと呼ばれる長命の種族と、人間との関わり合いを通して繰り返し描写される、「生と死」というメインテーマとは別に、主人公マキアとその養子的存在エリアルとの「母子愛」を筆頭に「自由」、「成長」、「戦争」などのサブテーマが副次的に描写され、それらが最後には、長命の主人公たちの人生の一部=ヒビオルとして収束していく。
ここで長命の主人公たちイオルフが、映画鑑賞者と重なる。時が止まった種族イオルフと同じ目線で鑑賞者は、エリアルの成長を見守り、出会いと別れを経験していく。御伽話の世界で汚れを知らなかったイオルフたちが、危機に直面することで、過酷な現実世界を生き抜き、様々な経験を重ねて、また元の御伽話の存在へ戻っていくというプロセス(=ヒビオル)は、まさに鑑賞者の映画体験を体現している。
それぞれのテーマ自体は、非常に普遍的で擦られつくしたものだと思うが、このイオルフを介した映画体験によって、観る人のヒビオルに刻まれる、そんな映画だと思う。
心が叫びたがっているんだ、みたいな 上辺だけのハートフルストーリー...
心が叫びたがっているんだ、みたいな
上辺だけのハートフルストーリーとか
新海誠や細田守作品みたいな綺麗な映像と音楽で
なんか壮大っぽいけど身近な感情に訴えかけてくる
みたいなが好きな人には向いてそう
勝手に悲劇のヒロインぶって
自分を大事にしてくれる人の気持ち蔑ろにして
自分だけが可哀想みたいな感じが受け付けなかった
「さようなら
私のことは忘れて 私も忘れるわ
城での暮らしのこと、この朝のことは
ヒビオルには書かない
長い長い記憶の中で忘れるの
私は忘れ去る
ほんのちょっとのほころびよ」
自分の出生のこと
ほんの少しのほころびとか言われる
子供の気持ち考えられないのか
身勝手もいいとこ母親失格
お前にとっては長い長い人生の一瞬でも
娘にとっては長い長い永遠の一生なんだよ
父親にも国にも疎まれて
母にも捨てられて
それでもこれから滅びゆく国家の姫として扱われる
そんな娘を置いて、
クソみたいな捨て台詞吐いて、感傷に浸って
いいご身分ですね最低だよ
容姿は変わらなくても年月生きてれば
考える力は養われるでしょ?
脳の発達具合も容姿同様なの?
傍にいられなかったとしても実の子、
血は繋がって居なくても必死に育てた子、
それらを置いていけるとか…引く
共に老いることはできずとも、
大事な人に自分が居なくなる悲しみを与えずに済む
大切な人の最期まで見ることができる
その最期までの時間、自分は健康に過ごせて
たくさん思い出を作ることができるのに
別れが辛いので先に去ります?とか。
一生自分だけ愛してろ。
別れは寂しいし痛いし辛いし悲しいけど
一緒に生きてくれようとする人たちがいるなかで、
独りよがりがすぎて反吐が出る
助けに来た元恋人の思想も気持ち悪いし、
やっぱり精神の発達も止まってしまう
って設定ないと飲み込みにくい話だった
いくら追われる存在で人に異質と見られようが
お世話になった人に挨拶しに行くくらいの
礼儀とかもあってほしかったし
主人公に育てられた息子も
本当にいい歳してガキすぎて驚愕
実の親じゃなかろうと
年月と共に容姿が変わらなかろうと
育ての親であることには何も変わらないのに
なんだあれ…?
見た目変わらないからって恋愛感情?か性欲か
分からないけど家族ではない異性に対する感情
抱くとかやばすぎるだろ…怖いわ…
思春期特有の色々や反抗期はあるだろうけど
母子二人で生活して
あんな身近で必死に自分を育ててくれてる母親
見ててあれはさすがに…
気持ち悪すぎるし色々成長足りなさすぎる…
途中までは純粋に見ていられたのに
息子が成長してからのところがしんどかった
感動してる人はなにに感動してるのか聞きたい
泣かずにはいられなかった。
先日、『アリスとテレスのまぼろし工場』を劇場で鑑賞し、物凄く衝撃を受けたので自宅でNetflixにて本作を鑑賞。
1人の小さくて大きい母親の物語でした。
私達も生きていく上で出会いと別れは付き物ですが、その別れを必ず悲しいものだと思わずに生きていこうと思えました。
みんなおんなじ髪金が居並んでは、相関関係の理解が難航
『獣の奏者』と『人魚姫』と『ポーの一族』足して、0.05で掛けて、3で割った様なお話です。
少なくとも、●親●姦にならなくて良かったです。また、何で黒髪が登場しないのか?それが物凄く気になった。日本のアニメなのに、何故黒髪が登場しないのか?そう言った細かい所に脱亜入欧の日々が続く。少なくとも、昭和の時代までは黒髪の美しさがまだ残っていたと思う。余りそんな事にナショナリズムを盛り込みたくないが、物語の進行にみんなおんなじ髪金が居並んでは、相関関係の理解が難航する。どうせなら
『よつばと』見たく、瞳を緑にするとかね。
美しい
絵も話も美しくて見入ってしまった。
寿命の長さの違うもの同士の話。
普通の少女がいきなり母親になり、悩み成長する姿は
種族関係ない。
ただ、自分より子どもが先に死んでしまう。
そんな恐ろしく辛い出来事を、マキアは受け入れる運命を選ぶ。
ファンタジー世界での冒険のその後はどうなるの?という疑問に答える話でもある。
最後に、レイリアが娘を置いて行ってしまう、というのが腑に落ちなくて星マイナス1.
日々織る自身と周りの人たちとの人生
圧倒的な映像美とわくわくする世界観にあっという間にひきこまれました。
誰かといることで、より孤独を強めてしまうことを憂いて時を止めひとりでいるよりは、やっぱり誰かを愛し未来を考えるほうがいいよねっていう物語です。
流れた涙をたんぽぽの綿毛が飛んでいく表現にしたのがとても素敵でした。
なんで?いつの間に?
数百年の寿命を持つ種族のマキアは親を失った人間の赤ちゃんエリアルと出会う。戦争、侵略・・・激動の時代に翻弄されながらも、孤独だった2人の絆を中心に様々な愛情が描かれる。
あらすじを読んだ時は、美しく壮大で切なくて、きっと泣くだろうなと思っていたのですが、実際に観てみると、なんで?いつの間に?という部分が多く、ストーリーに入り込めませんでした。
軍隊長イゾルや、無理やり結婚させられたレイリア、人間とイオルフのハーフのバロウなど見どころのありそうな登場人物がたくさんいて、彼らの物語も楽しみにしていたのですが、最後まであまりフォーカスされず・・・
“誰かを愛すれば本当の一人になってしまう”という深い教えを説いた長老のその後は?エリアルはいつの間に結婚して子供もいたの?そもそも約束の花って?
冒頭の景色の美しさに思わず息を呑んだのですが、その後は?が続いてしまいました。
切ないファンタジー物
どんなことがあっても母親は子供のことを思うんだなと考えさせられた映画
一度は人の元を去ったマキアが最後にエリアルの元を訪ねる場面はそう感じた。
そういう泣かせるストーリーもよかったけれど、製鉄所のベランダでマキアがラングの告白を断ると雪が降ったり、戦闘と出産の場面が切り替わったり・・・見せ方もこだわっている。
ベンジャミン・バトンという外国映画に似ている
BSでノーカットで放送されていたので視聴しました。
絵は、とても綺麗でした!
ただ、ベンジャミン・バトンという外国映画にすごく似ていてびっくりしました。
ベンジャミン・バトンを見た後は余韻が残り、流れも自然でわかりやすく楽しく鑑賞できましたが、こちらの映画は内容が少々薄いのと感動の押し売り感があって少し引いてしまいました。笑
他の映画と比べるのは良くないですが、あまりに似ていたので。
出会いと別れ、そして愛するということ
物語の設定は面白かったが、映画の尺によって描かれていない部分が多くもったいないと感じた。
物語の設定がややこしいのにプラスアルファ登場人物も多いためTVアニメとしてがっつり時間を使ってじっくり各キャラクターの心情を描いていたらもっと素晴らしい作品になっていたと思う。
視聴者の想像力に任せ過ぎている部分もあったかなと、、、
冒頭で長寿の一族の織るヒビオルという布について触れられており、「縦糸は流れゆく月日、横糸は人の生業」と述べられていた。
映画をみている最中ずっと考えていたが、ヒビオルは「人の生きた証」みたいなものを意味しているのではないかと思った。
親から子への愛は伝わるし、それは受け継がれていくものだと思う。
私が親になるのはまだまだ先のことかもしれないがもし我が子ができたらいっぱい愛情を注いであげたい。
改善して新しくしたのをもう一度見たいくらい勿体ない作品
映像、音楽、声優、話の設定はほんとに最高でした。前半はとても引き込まれる内容だったのですが、後半になると前半に設定した内容を壊すかのように話が右往左往していて何度も「え?なんでそうなるの?」っていう場面が結構ありました。たとえばエリアルが母マキアを守れるくらい強くなるために兵士になるって決めたはずなのに、戦争中にマキアと再開してその後にラングに会いに行っていいぞと言われたにも関わらずなんか別の理由言い出したり、レイリアが娘に会わせてってずっと言ってきていざ会うと抱きしめたりすることも無くお別れ。あと戦後のエリアルとマキアの別れのシーン。あそこキスまでいかなくても抱きしめ合うシーンくらい入れて欲しかった。別れが胸糞悪いよ。抱きしめ合うシーンだけでいいから足して欲しかった。とてもいい世界観でめちゃくちゃ好きなのにあともうひと押し足りなかった。
何かなぁ
作画は凄く良い、キャラデザもあんまり誇張し過ぎなくてモブと主要がちゃんと判るくらい。
でもなぁ、ストーリーがなぁ...
掘り下げが少ないのと展開がポンポン変わりすぎて、置いてけぼりにされた...
正直泣けたのは犬が死んだシーンだけ
長い時の中で沢山の人と交流して、ってのが醍醐味(だと思う)なら、伏線もしっかり張って人一人の人生をしっかり視聴者に見せて、王道だから分かるでしょ?みたいな雰囲気を無くせば、凄く良い作品だったと思う
言っちゃえば幼稚、外見だけ取り繕った残念な作品
解釈はあくまで見る人に委ねるものだけど、投げやりは違うんじゃない?
大衆向きだとは思うけど、君縄とか聲の方がよっぽど良く出来てる
ヒットした作品の二番煎じ感半端ない
ほんとに最高の映画
作画も綺麗だし、曲も美しい。
この映画は色々な事を教えてくれる。
ひとつの感情に対しての映画ではなく、「寂しさ」「怒り」「愛情」など色々な感情が描かれている作品。
そして愛情に関しては、親子愛、恋愛など様々な表し方をされています。
親子とは何か、人の時とは何か、死とは何か、愛情とは何か。
とても考えさせられる映画です。
色々なキャラクターの物語があってすごく見入ってしまいました。
幼い頃から親がいないマキア。
そして、外の世界で出会った1人だけ生き残った子供のエリアルを育て愛していく。
幼い頃に親が死に、マキアに育てられたエリアル。
母親であるマキアに愛され、そして自分の子供を妻と愛していくと決めた。
エリアルの寿命が来ても、絶対に泣かないと約束したマキアはエリアルの最後を見た時、その約束を初めて破った瞬間にこちらも涙が出ました。
どうせオタク向けの映画だろうと思って劇場鑑賞をスルーしてしまったが・・・
序盤からハープ中心の美しい音楽と、透き通るようなイオルフの民の映像。わざとらしい説明もなく、長老ラシーヌがマキアに伝える一言一言が彼らの住む世界を教えてくれる。特に布を織るという民族性が幻想的な世界観を醸し出しているかのよう。
そんな平和な時間もレナトと呼ばれるドラゴンのような獣にまたがってやってきた軍に壊滅状態にされるのだ。生き残った少女マキア。森の中をさまよい、親を亡くしたばかりの赤ん坊を見つけ、エリアルと名づけて母親になろうとするのだった。この一方的な侵略戦争以外にも後半に戦争の描写がある。こちらはレナトが徐々に死に絶えていき、国も衰退していく様子を描き出していたが、長い年月を経験するイオルフの民にとっては一瞬の出来事だったのかもしれない。レイリアとクリムの悲劇も織り交ぜてはあるが、レイリアの母性も生まれてきた子が長寿ではないことで別れは必然であったのかもしれない。
戦争をはさんで描写される母マキアと息子エリアルの生活。努力するも、ラシーヌの言葉通り、人を愛してはならないことを痛感させられるのだ。歳をとらないマキア、人間の寿命を全うするエリアル。大切な人を看取ることは人間の社会ならば“順番”と諦めもつくが、異寿命の者同士ではわかっているだけに辛い。なんで息子が先に死ぬんだよ!と。序盤で犬が死ぬ場面が結末を予想させてはいたのだが、戦争が運命を変えるのでは?と忘れてしまっていた。レナトの絶滅も予測不可能だったし、かなり奥が深い物語になっていました。
思わず涙が溢れてしまったのは、エリアルに自分が老いさらばえて死んでいく姿をダブらせてしまったからかもしれないが、その老いを姿の変わらない母親が自分を看ていてくれるだけで幸せなのかもしれない。と、自分の過去や未来を想像してしまったからなのだろう。もしかすると、かなり大人向けのアニメ作品だったのかもしれない。
シラけた
エリアルの行動が残念すぎる。
エリアルはあれだけマキアに愛されたのに
マキアと敵対するかもしれない軍に
逃げ入って、それ以降疎遠になって
いきなり女子供作ってて、
は?って感じ。
で、マキアと再会したら
今度は行かないでって。
意味わからない。
一人っ子のわがままぼくちゃんやん。
すごいシラけた。
疎遠になってから再会までの間、
エリアルがマキアに対しての思いが描いてないから見てる側はなんのこっちゃって感じ。
マキアの為に!ってゆう愛はないのかいって
ツッコミたくなった。
マキアの為に生きてたと思いきや
まさかのディタwww
ないわ。
ミドやラシーヌのその後もよくわらないし、
愛も中途半端だし
キャラを雑に使いすぎだし
終わってみれば誰も報われてないし
なんか残念。
かわいそう(苦笑い)って感じでシラけた。
映像も声優もよかっただけに
ほんとシラけた。
ちょっと無理やりすぎかな。
クリムが可哀想だった。
最初はリア充のクリムシネと思いましたが
最終的にはレイリアに怒りがこみ上げた。
彼は何十年と一生懸命にレイリアの為に
傷つきながら国と戦い、愛する彼女が孕まされ、最後には子供のメドメルを抱きしめたいと拒まれイゾルに致命傷をうけ死んでしまい。とても過酷で残酷な運命だった。
マキアを巻き込んだ理由は、わからなかった。
が、マキアにも、もう一度説得してもらいたかったのかも知れない。
メドメルを抱きしめることなく、レイリアは
私を忘れろ私も忘れると言って勝手に去るのはおかしい。
これから大変可哀想な事になりそうなメドメルなのだが。それならクリムと一緒に行っても良かったはずなのに。
この話は、とにかく時間が飛ぶ。
だからこそクリムがずっと辛く悲しい運命が
酷すぎる
見た人は、クリムの死で泣かなかったかも
知れない。俺は彼の死で泣いた。
エリアルは、うざかったかな。
大人になって落ち着いたのはいいけど
母親と戦うかも知れないのに
兵士でいる理由がわからなかった。
今の居場所や仲間や嫁が大事だから?
その理由で母親と敵対するつもりか?
もはや、エリアルは好きじゃなかった。
???
「異種間の年齢の取り方の違い」とか「親子の愛」とか「ファンタジー」「戦争」「ドラゴン」とかいい要素沢山なのになぜ??と思う節が何箇所かあった。
一歩引いたところで見てしまったから、泣けなかった。私の心根が曲がっているのがよくない。SNSで絶賛していた友人は泣いたらしいので、きっと素直で心根のまっすぐな人なんだろう。
褒められるのは絵と音楽のクオリティだけですね
中世ファンタジーにつきものの長寿エルフ族をオリジナル種族に置き換えて、寿命の違いからくる別れの儚さを主軸にしてるんでしょうが、かなり酷いストーリーでちっとも感動しません。
エルフ族を違う種族に置き換えただけみたいな世界観なので、その辺も目新しい感じが乏しく、ファンタジー物が好きでも物足りない感じです。
出産と子育ての大変さも扱われてるので、その辺の実際の経験がある女性の方々には共感できる部分が多くて感動するかもしれません。
が、ストーリーが酷すぎてその辺の感動的部分も台無しにしている様に感じました。
兎に角モブキャラの扱いが雑で、副キャラの幼馴染のカップルの女性が長寿能力を欲する帝国に拉致られて王子の子供を孕まされるという、まさかのNTR展開。
助けに来た男性の方も産まされた子供を愛したいと言う彼女の発言に乱心して心中自殺をはかるも失敗、最終的には腹部を撃たれて失意のなかを失血死すると言う酷い内容です。
こんな酷いもの見せられては感動も糞もないかと存じます。(特に男性は)
そんな酷い状態の中を生まれた子供も、クソ性格な王と王子(父)に見捨てられ、全て忘れる決意を固めた母親からも結局速攻で見捨てられてしまいます。
ここの部分が妙にさも感動的な様な演出で見せてくるわけですが、起きた現実だけを冷静に考えて見たら、到底感動なんて出来る訳もないかと存じます。
こんな酷いもの見せられては後々のシーンでの感動も糞もないかと存じます。(特に親が離婚した経験がある人は)
総じて、平凡以下の作品かと存じます。(特殊な性癖の方は除く)
あなたが与えてくれた愛
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』『心が叫びたがってるんだ。』の脚本家、岡田磨里の監督デビュー作となるオリジナル長編アニメーション。
『あの花』も『ここさけ』も少年少女たちの青春ドラマにファンタジーを少々プラスの作風だったが、こちらは直球とも言える異世界を舞台にしたファンタジー。
人里離れた地で暮らす“イオルフ”の民。彼らは10代半ばで外見の成長が止まる不老長寿の種族で、それ故“別れの一族”とも呼ばれていた。
“ヒビオル”という布を織る静かな暮らしを送っていた。
ある時、イオルフの長寿の血を求めて、王国軍“メザーテ”が翼を持つ獣“レナト”に乗って攻め込む。
その混乱の最中、仲間も村も失ったイオルフの少女マキアは、外界へ…。
最初は設定や用語を覚えるのにちと一苦労。
でも、それほどややこしくてこんがらがる訳でもなく、割りとすんなり把握出来た。(イオルフの教えなどさらに細かな設定はさておき)
異世界、人間と別種族、王国、不老長寿、古よりの存在…。
このまま剣と魔法が登場する王道の冒険ファンタジーが展開するのかと思ったら…、
命からがら助かり、森をさ迷っていたマキアは、賊に親を殺された赤ん坊を見つける。
エリアルと名付け、育てる事に…。
ファンタジーでまさかの擬似母子の物語。
でもお陰で、ファンタジーの世界特有の馴染み無い展開や争いがどーのこーのを見るより、ずっと見易かった。
とにかく、悪戦苦闘の子育て。ずっと布を織るだけの単調な暮らしだったイオルフの民にとって、人間が人間の子育てをするの比ではない。
全てが、初めて。全てが、慣れない。
偶然出会った女手一つで子供たちを育てる家族の助力あって、やっと。
おまけに端から見れば、子供が子供を育てるようなもの。
また、マキアは普通の人間じゃないとヒソヒソ噂される…。
こんな自分が母親としてやっていけるのか…?
自覚も無い。血の繋がりも無い。同種族でも無い。
毎日…いや、その瞬間瞬間が、自問自答の連続。
一つの場所に長く留まる事は出来ず、各地を転々。
時が経ち、エリアルも少年に。甘えん坊。
マキアは仕事を探す。仕事と家事と子育てに追われる。
ここら辺、ファンタジー・アニメではなく、まるで現実世界を見ているようだ。
母子仲は非常にいい。
が、子育ての悩みや日々の生活の疲れで、つい当たってしまった時も。
それが親子ってもんだ。
まだまだ母親として悩みながらも、溢れんばかりの愛情を注ぐマキア。
その愛情をたっぷりと受けて育っていくエリアル。
「僕が母さんを守る」
ある時言ったその言葉は、これ以上ない母子愛ではないか。
また時が経ち、エリアルは青年に。
エリアルの見た目はマキア超え。
周りには親子ではなく、姉弟として暮らしている。
この頃になると、母子関係に変化が。
“母さん”と呼ばなくなった。すでにもう本当の親子ではなく、別種族なのも知っている。
所謂思春期、反抗期。
…なのだが、この“親子”の場合、複雑な心情が。
エリアルからすれば、自分は成長していくのに、“母親”はずっと変わらぬまま。そんな“母親”を“母親”と呼べるのか…?
だからある時、遂に言ってしまった。「母親と思った事など無い」と…。
エリアルはエリアルなりに苦悩/葛藤していた。
見た目とか同種族じゃないとか、そんなんじゃない。
何故、この人は自分なんかに無償の愛情を注いでくれるのだろう…?
守ると誓ったのに、守れてない。
愛情が逆に重荷に。
それに応えられない自分…。
エリアルはマキアの元を離れ、王国軍に入る…。
メザーテ王国では、イオルフの長寿の血を巡って問題が。
王宮にはマキアの友人レイニアが王子の妻として迎えられ、子を出産していた。
実際は、囚われの身。王家の繁栄の為にイオルフの長寿の血が欲しかっただけ。
産まれた子は普通の子で、役立たず扱い。それ以前に、単なる子を産む“モノ”扱い。
勿論王子との間に愛情など微塵も欠片も無く、幸せも自由も無い。産んだ我が子にも会えない…。
そんな時、メザーテが古の力を頼った事が問題となり、隣国に攻め入られる事に。
その混乱の中、囚われてしまったマキア。
レイニアと、彼女を救出しようとするイオルフの青年クリム。
兵士として戦わなくてはならないエリアル。
各々の運命が交錯する…。
イオルフはつくづく悲劇の種族だ。
その不老長寿故狙われ、争いに巻き込まれ…。
不老長寿と言うと人類永遠の夢だが、それは時に呪縛にもなる。
種族が生きていく上で、ある掟が。それは、愛してはならない。
誰かを愛しても、相手は歳を取り、死に、残るは孤独と悲しみのみ。
でも、本当にそれだけだろうか…?
ネタバレだが、エリアルは幼馴染みの少女と出会い、子を授かる。子孫にも恵まれ、幸せな人生を送った。
これも全て、あの時マキアが、自分を拾い、育ててくれたから。
あの時マキアが自分を拾い、育ててくれてなかったら、エリアルの人生の全ての出会いも幸せも子孫も無かった。
何故、エリアルはマキアの子に…?
あの時マキアがどんな心情でエリアルを我が子として育てようと決意したか分からないが(孤独な者同士のシンパシー?)、そもそも理由なんて無い。
それは、親が子を、子が親を選べないのと一緒。
産まれ巡った縁で親子となる。
マキアとエリアルの場合は、出会いだ。
それを“運命”とも言えるが、だからこそその出会いは尊い。
だからこそ、理由なんて無いのだ。
ただひたすらの、親子としての、無償の愛情。
あなたが全てを与えてくれた。
喜びも、悲しみも、幸せも、愛し、愛する事も。
“別れの一族”と呼ばれるイオルフ。
悲しいだけの種族ではない。
出会いと別れ、愛の一族。
人と人の繋がりを丁寧に描く事に定評のある岡田磨里作品。
脚本作もいいが、これほどの手腕を見せられたら、次の監督作も期待せずにはいられない。
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