「前作のレベルに至らず」フリクリ オルタナ JIさんの映画レビュー(感想・評価)
前作のレベルに至らず
繰り返す日常を送る女子高生が大人になることに戸惑う。
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前作フリクリは劇場アニメ、アートアニメを除けば、私が最も好きなアニメーション作品だ。それだけに予告の動画を見た時点から、不安はあった。
が、はっきり言って、今作は好みではなかった。映像でもセリフでも、おもしろいことをやろうとはしているが、センスでフリクリに劣っている気がした。最初の靴のカットの時点で不安は最高に達し、その後は極めてスムーズに失望に移行した。言葉で言い表しづらいが、内容と表現の響き合い、小さな仕草の描写、表情やポージング、カット分け、スクリーンのサイズに対する構図…つまりは全体的に、センスが私の好みでは無かった。
随所にフリクリを彷彿とさせる描写があるが、具体的な表現自体はフリクリのらしさの本質では無いから、そこは楽しめない。むしろ、場面に合わせて都度新鮮な演出を提示してくれるところこそ、フリクリの真価だったのではないか。どうも今回は、前作の水準に至ろうとして失敗した風だった。章分けしているのも、前作の6話分を130分に押し込んだみたいな感じがし、気持ちがよく無い。
高校生の描写は、現代のフツー高校生を描こうとはしているが、リアリティに欠ける。違和感が気持ち悪い。私は「宇宙よりも遠い場所」を思わず連想したが、これに劣る。
音楽使いもよろしくないが、予告編でもあった「Star overhead」と「Thank you,my twilight」は好きだ。
だが最も難点に思えたのは、リズム感だ。全体にちょっと早めな気がする。せっかくのBGMもうまく生きてはいなかったように思う。
宣伝のビジュアルは草野剛デザイン事務所が関わっているのか?キレイで、流石の定着力。それだけに、本編とのギャップが…。