劇場公開日 2018年9月7日

「狂気と熱量の演劇的シネマ」累 かさね LittleTitanさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0狂気と熱量の演劇的シネマ

2018年9月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

萌える

番宣で語られている通り、両ヒロインに負荷の高い映画でした。
淵累と丹沢ニナ という、正反対のキャラを同じシーンで演じ分けるばかりか、今は累なの? ニナなの? という仕掛けもあるので、ニナである累も、累であるニナも、観客に説得力をもって印象付けないと成立しない作品。
でも、両ヒロインはその高いハードルを、見事に越えていました。
太鳳 ちゃんは、絶世の美と高い演技力という設定に対してプレッシャーを語っていましたが、見事に体現していました。
きょんちゃん は、毎回特殊メイクを施した上で、劣等感 と優越感 を体現していました。
表現力が豊かなきょんちゃんの顔芸は顕在で、役の感情の機微を随所に感じられました。
マネージャーの浅野忠信さんの怪演も、母役の檀れいさんの怪しさも必見です。
🎬
佐藤祐市 さんの出世作であるキサラギ は、舞台の映画化で、非常に演劇的な作品でした。
ストロベリーナイト でも、男社会で奮闘する姫川玲子の魅力を、竹内結子から引き出してました。
玲子を想う菊田の不器用さも、西島秀俊に見事に体現させていました。
今回の累は、非常に演劇的な作品で、役者の魅力こそが命ですが、両ヒロインをはじめ、浅野さんや壇さんから、狂気を引き出すのに成功しています。
いい舞台は、ストーリー以上に、役者さんの発声や立ち振る舞いに感動します。
この映画にも、そんな熱量があります。
ストーリー的には、若干未消化な感じがありますが、そんな想いも二人の熱で溶けちゃいます。
両ヒロインには、何某かの映画賞に輝いてほしいです。

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LittleTitan