「のび太たちの宝物」映画ドラえもん のび太の宝島 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
のび太たちの宝物
ドラえもん映画38作目。
興行収入も観客動員数もシリーズ最高を記録。
今年のドラえもん映画は公開前からいつもより話題になり、盛り上がっていた感があり(WOWOWでのドラえもん映画一挙放送企画はメチャメチャ嬉しかった)、ここ数年間でも最も興味惹かれた。
『宝島』に夢中になり、またいつものように宝島を見つけると言い出すのび太。
ドラえもんの道具で…ビンゴ!
そこは、太平洋上に突如現れた新島だった…!
序盤の話の始まり方~神がかりな的中率で宝島を見つけるまで、ベースになった原作エピソードがあった。
出来もしない事を言い出すのび太。出来なかったら、鼻でカルボナーラを…ここら辺、『恐竜』を彷彿。
脚本は、『君の名は。』などを手掛けたヒット・プロデューサー、川村元気。自身のドラえもん愛を感じた。
いざ、冒険へ!
遂に辿り着いた島は何と、“島”ではなく超巨大な海賊船。
過去・現在・未来を行き来する“時空海賊”だった…!
その内部は、居住施設や娯楽施設など小さな島か街が丸々一つ入ってるようで、超ハイテクで近未来的なデザイン。こういうのはワクワクさせる。
1998年の『南海大冒険』のような海洋アドベンチャーかと思いきや、近未来要素やクライマックスは宇宙へ飛び出そうとするなど、川村元気が様々なドラえもん映画のエンタメ要素をこれでもか!…というくらい、てんこ盛り。
怒涛の展開もスケールも、ドラえもん映画の中でも屈指。
海賊にさらわれてしまったしずか。
のび太たちは海を漂っていた彼らの仲間と思われる少年を救出。その少年・フロックの力を借りて、しずかを助けに向かう。
一方のしずかは船の中で、自分そっくりの少女・セーラと親しくなる。
子供だからこその友情、勇気、彼らが出来る事…。
時代と共にドラえもん映画も変わっていくが、唯一それらだけは変わらない。
フロックとセーラは兄妹。
父が居るが、その父というのが、この巨大海賊船の船長。
が、父との関係は…。
今回、父子がテーマの一つ。
ドラえもん映画なので最後は感動を誘う。
昔なら巨悪が居てそれを倒すというのが定番だったが、単なる勧善懲悪ではなく、いつの頃からかドラえもん映画の悪役像も変わってきた。
父のシルバー船長は恐るべき計画を企てていた…!
妻を失った悲しみがきっかけ。
妻に子供たちとその未来を託されたが、意味を履き違えた暴走ぶりは最後まで解せなかった。
川村元気の脚本は強引な点や難点もあったものの、総じて上々。
前作の『南極カチカチ大冒険』はビミョーだったが、今回は面白かったと思う。
話題で持ちきりの星野源の主題歌も良かった。
(にしても今回、OP主題歌がナシだった事にびっくり。ドラえもん映画初!)
のび太たちが宝島で見つけた宝物。それは…
子供だからこその冒険、友情、成長、感動…。
ドラえもん映画王道の楽しさであった。