すばらしき映画音楽たちのレビュー・感想・評価
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自分で鳥肌が立つような音楽でなければだめだ
映画「すばらしき映画音楽たち」(マット・シュレイダー監督)から。
「映画音楽」の作曲家インタビューが中心だけど、
彼らの映画音楽にかける情熱みたいなものを充分感じた。
「斬新さを競っているわけじゃなく純粋に楽しんでる」
そんな作り手のメッセージに、なるほどな、と頷いた。
「ほとんどの映画監督は感情を音楽に変換できない」から、
音で映画を表現すると思いきや「作曲家は語り部だ」と語り、
監督もまた、映画音楽について
「音楽次第では映画のメッセージが変わったり破壊されかねない」と
その重要性を口にしている。
「刺激的な場面をより盛り上げる」
「狙った通りの反応を引き出す『感情の潤滑剤』さ」
「映像では伝えられない感覚に訴えかけるものだ」
「作品を昇華させる」など、映画音楽についてメモが増えた。
では、どんな音楽がいいのか、と興味が湧いたが、
「自分で鳥肌が立つような音楽でなければだめだ。
決しておごりじゃなく自分にガツンと響く音でないと、
観客や聴く人の心にも響くわけがないと思うんだ。
自分で鳥肌が立てば他の人でも立つ。
あの感覚の源は万人共通な気がする」とまとめてくれた。
「シーンを貫くリズムを見つけ出し」
「シンプルなフレーズをいろいろなイメージでアレンジする」
「ロッキー」然り「スター・ウォーズ」然り、
音楽を聴くだけで、映画を思い出し、シーンが蘇る映画音楽。
私の場合「小さな恋のメロディ」のビージーズかな。
映画音楽の魅力
60人を超える映画音楽家や監督、プロデューサー、心理学者へのインタビューに作品群を散りばめたハリウッドの映画音楽入門編、マット・シュレイダー監督は元CBSの記者、映画音楽好きが高じてドキュメンタリーを撮ってしまいました。ニュース帝国CBSの憲法ではニュース素材にBGMは感情を操作すると禁じられていたので欲求不満になったのでしょうか。
冒頭から谷間に響くピアノの音色、マイク・ベルトラミはトミーリージョーンズの映画の為に何やら壮大な野外共鳴装置まで作ってしまったようです、あっけにとられていると有名な「ロッキー」のテーマが流れ親近感がぐっと増します。無声映画時代は劇場のオルガンで盛り上げていたとかオーケストラを初めて映画音楽に取り入れ革命を起こしたのが1933年のSF「キングコング」、「ジョーズ」のテーマとベートベンのモチーフの近似性、ジョンバリーの「007」のテーマは映画音楽にビッグバンドを持ち込んだ意欲作、マカロニ・ウェスタンの旗手エンリオ・モリコーネ、そして映画音楽の神様ジョン・ウィリアムスの黄金時代へと続き現代のジャンルや楽器、演奏に囚われない多様性の出現で締めとなる。それでもマット・シュレイダー監督はやっぱり映画音楽の王道はオーケストラ演奏と言いたいのでしょう、多彩なスタジオで初見のスコア(原題)を見事に演じるプロミュージュシャンへのリスぺクトが滲み出ていました。
ただ成功例ばかりなのでちょっと物足りない、お涙頂戴のわざとらしい切ない曲づけや豊かな自然音を聴かせるべきシーンの疎外、あえて無音にするのも才能の内、シーンを活かすも殺すも音楽次第といった両刃の剣の面もあります。
然しながらそもそも失敗例では素材使用が許可されないでしょうし大半が凡庸なので本作で取り上げられた成功作が際立って聴こえるということかも知れませんね。
すごいぞコレ!
映画会社関係なく、いろんな映画出でくるので面白いです。
E.Tのラストシーンの音楽、別れを表現してからの希望やミッション達成を表す感じとか、
インセプションのラストシーン、家に帰ってきた安堵感からの大きな疑問符の表現とかすごかった。
なるほど。これは鳥肌が立つわけだ。作曲家も自分で鳥肌が立つ音でないと世に出せない訳だから。
心理学者の考察も面白くて、カールおじさんの映画での目線の話はなるほどと思った。音楽によって我々の目線まで操ってるって相当音楽って重要だよね。ロードオブザリングの同じメロディーの繰り返しで、クライマックスでは当然のように観客の中に馴染んでるっていうのも興味深かった。
作曲家の苦悩も描かれてて、依頼されるのが恐怖だとかポスター見るのも嫌だとか、プレッシャー感じるよなあ、と。実際に劇場に足運んで観客の表情見たりしてんだもんね。トイレこもって観終わった客がその歌口ずさんでたら喜ぶって本当に凄い世界だよ。それでも死後も映画は残るから続けるんだよなあ。
欲を言えばデイミアンチャゼル見たかったっていうのと、ジョンカーニーとか詩も含む音楽の部分も見てみたいです。
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