劇場版 響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレのレビュー・感想・評価
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100分の映画で作った意味
シリーズは全て鑑賞させていただいています
2年生編を劇場版完全新作でやると発表されたとき、続編が見られる喜びと同時に「テレビシリーズじゃないの?」「せいぜい2時間の映画で収まるの?」という疑問と不安が頭をよぎった人は少なからずいたと思います。
結論から言うと、今回の新作映画は「急ぎ足」の印象が強すぎます。
誤解を招かないように先にいい点を挙げますが、京アニにしか出せないアニメーションのクオリティや演奏シーンでの滲み出る細部へのこだわりは今回も健在であり、これらに関しては京アニを褒めるべきだと思いますし、それらを劇場版の音響とスクリーンで味わえるというのは劇場版一二作目と同じように価値あるものだと思います。描こうとしているストーリーや新キャラも興味をそそられるものが多かったです。
しかし、それらのいい要素全てが「映画100分」という枠のせいで台無しになってしまっています。簡単に言えば、「伝えたいストーリーの量に対して時間が圧倒的に足りていない」です。そのせいで、キャラそれぞれの行動が理由もなく突発的に感じられたり、それぞれのキャラや北宇治吹奏楽部全体としての成長にも感情移入しにくくなってしまっています。完全新作を見ているはずなのに、さながら総集編を見ている感覚になります。
視点を変えるならば、映画100分の枠に収める上での大胆なカットが足りなかったとも言えると思います。(が、原作の2年生編はそれまでよりもさらに序盤中盤の伏線が最後に活きてくるストーリーであり、カットがあったとしても映画の枠で表現するのは難しかったとは思います。)
そもそもこのシリーズの最大の売りの一つは、部員同士の人間関係がしっかり濃密に描かれているところであり、それを1年生編を2クールかけて描いたあとに2年生編を100分でやるというのは最初から無謀だとわかっていたはずです。3年生編、できることならテレビシリーズでの2年生編のリメイクを期待します。
工夫を凝らされた映像表現と本格的な音楽
ストーリーは万人向けです。
繊細な人間描写や、演奏シーンの映像は必見、音楽は本格的なものです。
アニメと言うと、漫画的表現で、アニメファン向けの通り一遍の演技しか見られないとおもわれがちですが、
このシリーズは違います。
人生の大事な時期を過ごす若者たちの、感情の機微や自然を描く上で、
観客の記憶が揺り動かされるような表現手法がふんだんに用いられています。
絵でそれをやるのですから、大変な観察力と技術力が必要ですが、世界でも屈指の表現力を持つスタジオの実力がいかんなく発揮されています。
展開が早いため、映像の切り替わりが次々に起こり、結果的に面白く美しい絵がたくさん動いていく贅沢な作りで楽しいです。
声の方も、主人公役の方の演劇経験もあってか、アニメ的な声色を使った演技は外向きの声に留められ、普段の素の声と本当の感情をさらけ出す時の演じ分けなどが素晴らしく、大事な所では本当に直接感情に刺さってきます。
音楽は吹奏楽の関係者をして、これが吹奏楽曲だよ、と言わしめる、各パートの見せ場がふんだんに盛り込まれた本格的なものです。
楽器の操作なども、研究を重ねた上で描画されています。
打楽器の演奏など、あの「セッション」でも無かった絵があったと思います。
ストーリーは、シリーズ毎作ごとに、原作者の過去の経験に基づいた等身大の人たちの群像劇を、巧緻にまとめて一つの大きなメッセージを作っています。
目指すものへの憧れと不安、努力と消耗、葛藤、競争、いくつになっても、誰にでも起こり得る出来事を、逃げずに丁寧に描くことで、見る側に自分の解答を促す作りは変わっていません。
どこにでも居る人達が、真摯に丁寧に前向きに関わり合えば、こんな人生の糧を得る事が出来る。
そんな素晴らしい気持ちで館を後にできるシリーズです。
これを期に、「ようこそ北宇治吹奏楽部へ」、「届けたいメロディ」、「リズと青い鳥」の鑑賞もおすすめです。
面白かったのでテレビアニメ化期待
今回は久美子が二年生に上がってのお話。物語的には響けユーフォニアムの第二部にあたるお話です。一応リズと青い鳥未視聴での鑑賞でした。問題なく見れましたが見ていた方が良かったのかもしれません。
中身に関してはあまり触れずにお話しようと思いますが、第一部のように盛り上がる箇所自体は多くなく、演奏シーン控えめ人間関係盛り盛りの群像劇なので、演奏シーン楽しみで行くと期待外れになるのかもしれません。今回に限って言えば完全にテレビアニメ向けのお話だと思うので映画としては個人的にはイマイチかなぁ。ただ下手なアニメ映画見るよりかは遥かに面白いので間をとって3.5ですね。
京アニさんはどうするかわかりませんが、テレビアニメで1クールかけてじっくりやるべき作品だと思います。もっと膨らませるところはあると思いますし、リズ未視聴な私的にもやって欲しいところ。ただ2クール掛ける内容ではないかなぁ。むしろ2クールだと途中見るのが辛くなりそう。
「リズ鳥」の後で無ければ
「劇場版響け!ユーフォニアム」シリーズ最新作にして完全新作。相変わらず部活群像劇ものとしての完成度は高く、安心して見れる出来です。もし本作を1作目「北宇治高校吹奏楽部へようこそ」の次に鑑賞していれば、さほど疑問もなく楽しめたかも知れません。
ところが本作は劇場版4作目。2作目の「届けたいメロディ」では田中明日香を始めとした3年生部員の卒業というフィナーレを真正面から描ききり、3作目「リズと青い鳥」では、鎧塚みぞれと傘木希美の2人の関係性にフォーカスを当て、繊細な心の機微をすくい取る上質なフィルムに仕上げていました。それだけに本作における、多数の登場人物に目配せした総集編さながらの作りには、戸惑ってしまったというのが正直なところです。シリーズを通じて、徐々にキャラクターの心情へとフォーカスしていったカメラを急にズームアウトされたようなもので、鑑賞するこちらの視座が定まらない・・と言ったところでしょうか。
いいカットも少なからずあるだけに、TVシリーズとして作られなかったのが返す返すも惜しい。仮に次回作(久美子世代の3年生編)があるのならば、今回のように劇場版ストレートにはせず、TVシリーズとして企画が通る事を切にのぞみます。
青春の感情がいっぱい
本作も、とても「ユーフォ」していた。
吹奏楽部を通じて、思春期に味わう様々な感情を丁寧に、鮮やかに描き切っていた。恋愛、好きな友達と苦手な友達、ちょっと特別な友人関係、自信をもって人生を語る親友と、先の見えない自分の将来。
そういう、不安定で、揺れ動く個々の感情がいっぱいに、そして魅力的なキャラクターを通じて丁寧に描かれるのが、今作の魅力だと思う。
ここまで、いろんな感情を実写で盛り込むと、どこか胡散臭いというか、気色が悪いと思うんだけど。
アニメ映画だからこそ、いろんなトラブルや心理描写が、そこまでストレスなく入ってくるんだよね。
全体を通じて、やや、駆け足な感は否めない。ただ、それにも余るほど、一人一人のエネルギー、思いっきり青春時代を生きていくことへの趣が伝わってきた。
特に、好きなのは、久美子と奏がやり取りのシーン。
雨の中、逃げ出してしまう奏を、久美子が走りながら、追いかける。
ある種、すっごくベタな絵面なんだけど、京アニのきれいな風景と、黒沢ともよのリアルな温度感のある叫び方が、なんだか心に刺さるんだよなぁ。
部活を一生懸命やったって、何になるのか。
何かに取り組んだことがある人なら、必ずや思ったことのある疑問だろう。
それに対する、久美子の答えはとてもシンプル。
「もっとユーフォがうまくなりたいから」
この、本能的で、純粋な欲求が強いんだよなぁ。。。
日々への意味や意義、原動力を失っている営業マンには刺さる言葉である。
今、やってることの先に何があるかなんて、分からないけれど。
自分が実践できる精一杯の「正しさ」と「もっとうまくなりたい、上に行きたい」という感情を大切に、生きていきたいと思う。
ああー、京アニさん、三作目もお願いします~~。
尺不足感はあるがそれでもレベルは高い
群像劇の難しさ
ブラバンあるある
吹奏楽経験者なら誰しもが「あるある!」と言うエピソード満載。
細かいところで言うと練習番号を言うときに「ダイヤモンドのD」とか「ベートーベンのB」とか言うところも結構ブラバンあるある。特にDとBは解りにくいですからね。
経験者と高校初心者の壁、上級生より出来る一年とかこの辺も吹奏楽経験者には「あるよね~」と言う話でかなりリアル。
北宇治は人数が多いのでコンクールメンバーが選抜になるけど、人数の少ない高校ならそれすら出来ないので初心者抱えたままコンクールに出場する事になる。どっちが良いのか悪いのか…。野球やサッカーよりも吹奏楽はレギュラーメンバーの人数が多く、しかもただただ競い合うだけではダメなのが難しいところ。高校に限らず、社会人バンドでもどうしても人間関係のトラブルは付き物。
上手くなりたい人と楽しみたい人の壁もどうしても発生してしまう。
そしてどんなに頑張っても結果が得られる保証が無い…これは吹奏楽だけではなくどんな部活にも言えることだろうけど。
今回も演奏シーンは抜群でした。
みぞれのソロもフルで見れて良かった。
でも、今作品中ではみぞれと希美はほぼ登場してないので、前作「リズと青い鳥」やテレビシリーズ二期を観てない人にはちょっと解りにくかったかな。(気になった人は是非「リズと青い鳥」を!)この辺りはファンサービス的なものかも。
結局、久美子は成長したのか変わってないのか。
基本的には変わらないんだろうけど、いろんな事に気付いていく過程なんだろうな。
元々いろいろ持ってる子なんだと思う。
テレビシリーズ一期から観てきて良かったと思いました。
新作総集編のような
部活動青春映画の集大成
レギュラー争い、補欠にまわった者の身の身の置き場、先輩後輩の上下関係など体育会系の部活を経験した自分にとっては生々しく感じた。
感性や技術だけではなくて、努力や根気も才能だと痛感させられた。
改めて劇場版ちはやふるを観直したい気分になった。
久美子の2年生物語
次回作に期待
最高。
苦々しいぜ
期待が大きすぎました。
前二作の劇場版と比べて深みに欠けるように感じた。
前二作が冒頭でコンクールの演奏を聞かせて高揚感を抱かせてくれたのに、今作は学校での例の歓迎演奏でいささかずっこけた。
主人公の黄前久美子の恋愛関係、先輩後輩の関係といった人間関係を主に描いて、コンクールに向けての練習風景などは少ない。
もちろん、高校生にとって恋愛や学年間における人間関係も重要事項ではあるけど、もう少し練習風景を描いてほしかった。現役の吹奏楽部員はどう感じるだろうか。全国大会金を目指すための練習ってこんなもんじゃないでしょ。
そうそう、サンフェスもいささかがっかり。昨年北宇治の実力を見せつけたのに今年はこんなんでいいの?
また、もう少し「リズと青い鳥」のキャラと絡んだシーンも欲しかった。せっかくオーディションもあったのに梨々花ちゃんのオーボエも聞いてみたかった。
演奏シーンでホールの上から全体を描いているシーン。あれは3DCGだろうか。非常に違和感を感じる絵で、京アニにはあまり似つかわしいと思わなかった。
そうは言ってもやはりラストの演奏には心奪われてしまう。第一楽章から涙がボロボロでてきて困った。
なんか批判的なことばかり書いてしまったが、決してつまらない作品ではありません。最後まで夢中になって見てしまった。ただ、前二作やリズを見て、少々期待値が上がってしまっていただけです。
これから見に行こうかなと思われる方に。映画は最後まで見てくださいね。エンドロールで帰っちゃだめです。
響け!最高!!
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