「誓う!京都アニメーション」劇場版 響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
誓う!京都アニメーション
吹奏楽に打ち込む高校生たちの青春を描いた同名小説を基にした京都アニメーション作品。
スピンオフの『リズと青い鳥』と、例の事件が起こってからTVシリーズ第1期と第2期を総編集した劇場版2作を見て、非常に気に入り、レンタルを心待ちにしていた。
公開は去年のGW。長かった…。(例の事件があったからか…?)
2年生になった久美子たち。
3年生が卒業し、吹奏楽部にも新入生を勧誘する事に。集まるか不安だったが、前年の全国大会出場効果もあり、予想以上の入部数。
今年の目標は、前年果たせなかった全国大会金賞。
が、3年生が抜けた穴は大きく、1年生ではまだまだレベルに程遠く…。
こんなんで全国大会金賞を目指せるのか…?
しかしこれは日々の猛練習で何とかなるとして、問題がもう一つ…。
取っ付き難く孤立している女子、名字で呼ぶな!の女子顔男子…。
新入生の指導係となった久美子の台詞を借りるなら、「1年生、面倒臭ェ~」。
一癖も二癖もある1年生たち。
中でも問題児は、久美子と同じユーフォニアム担当の奏。
一見愛想が良く、聞き分けも良く、可愛い後輩。が、ふとした時何処か冷めていて、時々相手を突き刺すようなヒヤリとさせる言動…。少々…いや、かなり性格に難アリ。
ますます疲れる…。
今回久美子は、多くの難題に直面する。
全国大会金賞、1年生の指導。
2年生となり、来年に備えてそろそろ考え出さねばならない。進学するか否か卒業してからの事、将来の事。親友でトランペット担当の麗奈はしっかりとプロになるという将来の道を考えているのに、自分は…。
さらに、トロンボーン担当の秀一から突然の告白! 付き合うか否かはっきりとした答えを出せず…。
端から見れば充実した高校青春ライフを送っているようだが、当人からすればプレッシャーと悩みの日々…。
そんな中で、自分は何故吹奏楽に打ち込む…?
今回もコンクールメンバーはオーディションで選ぶ事に。
奏はわざと下手に吹く。実力は久美子ら先輩に匹敵もしくは凌駕するくらいなのに。何故…?
久美子は事情を聞き出す。
奏が遂に本心をぶちまける。やはりあったのだ、暗い出来事が。中学の時…。
頑張るって何?
一生懸命やって何の結果も出せなかったら、周囲はどう思う…?
誰だってそう思う。いつも。
確かに分からない。
だけど、頑張るしかない。
分からないから、頑張るしかない。
頑張ってやっても、ダメな時はある。
全てがハッピーエンドなんてフィクションの世界。
でも、一生懸命頑張って、例えダメでも、きっとそこに、何かある…。
奏の心を開かせる言葉が、久美子自身への言葉にも…。
様々なプレッシャーや難題乗り越え、恋の方にも一応の答えを出し、頑張ってきたこの一年。
全員が一丸となり、コンクールメンバーも決まり、いよいよ迎えた全国大会出場が掛かる地区予選の日…。
完全新作劇場版。
原作小説からはだいぶカットされているかもしれないが、TVシリーズの総編集だった前2作より、とても見易かった。
毎回言ってる気もするが、画の美しさはもう…! 全国…いや、全世界大会金賞レベルである。
瑞々しくて切なくて熱い、等身大の物語。
そんな全ての想いが込められたクライマックスの演奏は、ダイナミックで、高揚感と臨場感に満ち、それでいて繊細で聞く者の心揺さぶる。
劇中使われる曲も「これが私の生きる道」「ボレロ」などバリエーション豊か。クライマックス曲はスピンオフとリンク。
コンクールの結果は…
中盤の久美子と奏の台詞通りと言えよう。
だけど、誰にとっても後悔の無い、最高の演奏だった。
今年はこれで終わった。
でも、私たちの全てが終わった訳じゃない。
来年も…最後の1年がある。
そのフィナーレに、誓う。
まるでMCUの如く、エンディング後にオマケ映像が。
すでに伝えられている通り、“久美子3年生編”の製作が決定している。
何と!部長になった久美子。
果たして今度こそ、全国大会金賞を目指せるか、北宇治高校吹奏楽部!
もう、待ち遠しい!
…だけど、暫く待つ事になるのかな…。
だって、あの事件があったから…。
本当に本当に、こんなに素晴らしい作品を作ったスタッフたちの何人が不条理にも命を奪われたかと思うと、痛まし過ぎる…。
京都アニメーションの皆様には、改めて哀悼の意と、この惨劇を乗り越えこれからも素晴らしい作品を作って下さいとエールを送る事くらいしか出来ない。一ファンとして。
そして、被疑者。
自分も大火傷を負い一時は生死の境をさ迷ったらしいが、今はだいぶ回復したらしい。
それはそれで良かった。
何故なら、そのまま死ぬより、回復したところで死刑にする事が出来るからだ。
この絶対許してはならない被疑者に、二度死の恐怖を!