「「リズ鳥」の後で無ければ」劇場版 響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ 猫シャチさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「リズ鳥」の後で無ければ

2019年5月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「劇場版響け!ユーフォニアム」シリーズ最新作にして完全新作。相変わらず部活群像劇ものとしての完成度は高く、安心して見れる出来です。もし本作を1作目「北宇治高校吹奏楽部へようこそ」の次に鑑賞していれば、さほど疑問もなく楽しめたかも知れません。

ところが本作は劇場版4作目。2作目の「届けたいメロディ」では田中明日香を始めとした3年生部員の卒業というフィナーレを真正面から描ききり、3作目「リズと青い鳥」では、鎧塚みぞれと傘木希美の2人の関係性にフォーカスを当て、繊細な心の機微をすくい取る上質なフィルムに仕上げていました。それだけに本作における、多数の登場人物に目配せした総集編さながらの作りには、戸惑ってしまったというのが正直なところです。シリーズを通じて、徐々にキャラクターの心情へとフォーカスしていったカメラを急にズームアウトされたようなもので、鑑賞するこちらの視座が定まらない・・と言ったところでしょうか。

いいカットも少なからずあるだけに、TVシリーズとして作られなかったのが返す返すも惜しい。仮に次回作(久美子世代の3年生編)があるのならば、今回のように劇場版ストレートにはせず、TVシリーズとして企画が通る事を切にのぞみます。

猫シャチ