「弱く儚く強く脆い」リズと青い鳥 Pegasusさんの映画レビュー(感想・評価)
弱く儚く強く脆い
この作品を観るとき、覚悟をしてから観始めた。
今作を観る前に『響け!ユーフォニアム』の二期を観ていて最終回に別れのときの意味分からないけどなんか泣けてくる感覚に陥り泣く寸前だったからだ。
そんな状態で観たら涙腺崩壊しそうだったので覚悟した。
冒頭の友達と歩き朝練へ行き楽器を吹く。そんな日常を淡々と描き、特に感動要素無いのに何故か泣きそうになる。
『聲の形』のときにもなったけど、何故だか山田尚子監督作はどうってことない日常を描いているだけなのに喉が締め付けられて涙が溢れそうになる。
短編映画的な情緒深いカットで観ているだけで画面に引き寄せられる目に見えない「力」がある。
その力は繊細で優しくて儚い。
この「力」はいったい何処から来ているんだろう?と気になって作品を分析しようとしたがこりゃダメだ。
分析すればするほど何故だか胸を締め付けられて泣きそうになる。そしてどんどん力の正体は離れていく。
本当にこの力はなんだろう。
美しいアニメーションと繊細で弱く美しく強い少女の心情を言葉ではなく、演出として表現していたり、軽く楽しいようでいて、何処か切ない牛尾憲輔の音楽によって創りだされている「力」だと思う。
でもどんな力かは分からない…
分析するために作品を思い出す度に泣きそうになるし。
とにかく断言出来ることは山田尚子監督の才能は素晴らしいということだ。
あと音がめちゃくちゃいい!
家の2.1chのスピーカーでもまるで映画館みたいに音が駆け巡っていた。
それとオーボエね。
自分がリズではなく、青い鳥なんだと気づいたときの演奏が半端ない。
素人が聴いても「さっきと全然違う」と感じるし、「繊細で力強い」とも感じる。
あのオーボエの音は確実に脳天をぶち抜かれた。リコーダーすら怪しい自分がオーボエを吹いてみたくなった。
全体的にジブリ作品とも通じる絵本のような世界観と画で夢のようであり現実的でもある幻想的な作品という印象。
とにかく繊細で美しい。
ん〜。やっぱり京アニは刺さるな〜。
なんでか知らないけど、『聲の形』を観てから涙腺が弱くなった気がする。
汚れた心を浄化されたからかな。
だとしからこの『リズと青い鳥』を観たあとは更に涙腺が弱くなるじゃないか!?
ありがたいような困るような…
まぁとにかく今作は文句なしの傑作です!