「映像でないと表現できない何か」リズと青い鳥 ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
映像でないと表現できない何か
言葉で語れないものを語るからこそ、映像作品には価値がある。しかし、本当の意味でそれをできる人はそう多くない。この映画はそれが非常に高いレベルで出来ている。「名前のない感情」を描きたいと監督はいっているが、まさに名付けようのない何かを捉えている。無理に名付けた瞬間、壊れなそうな何か。
アニメは動きを追求するものだ。動きによって何かを表現する、というのは芝居で言えばパントマイムのあり方に似ている。ウォルト・ディズニーは新人アニメーターにキートンなどの芝居を見せて教育したらしい。
しかし、この映画の芝居は何か別の方向を向いているように思う。パントマイムで「喜び」を表現するなら「笑顔」を作る。従来のアニメもそういう表現になる。しかし、この映画は「笑顔」であっても、その裏には違う気持ちがあることを描く。生身の役者ではなくアニメーターが描く芝居にもそういうものがあるのか、と驚いた。
何度観ても新しい発見がある。すごい、本当にすごい。
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