劇場公開日 2018年4月21日

「もう一つ何かが欲しい(追書)」リズと青い鳥 Geso_de_Nyoroさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5もう一つ何かが欲しい(追書)

2018年4月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

 TVシリーズ1期2期を完走、もしくは劇場版として再編集された作品を鑑賞した貴兄には、一味違ったシットリな北宇治吹部のお話が楽しめたかと思います。この話のネタ元は上記2期に取り上げられています(劇場版ではカットされた)。
 従ってこの作品から初めて本シリーズを鑑賞したお客さんは、単に百合要素とキマシ塔が建つお話かと誤解されそうでもあり(特に出だしの映像で)、ならばぜひ本編を見る機会を得て頂きたいところです。
 この作品単体では、みぞれが希美に寄せる思いの根拠が薄く描写も若干大味だったり、本編の2期を視聴し補完しないとワリと重要な情報が一部省略、もしくは本編を視聴している前提なのか間接な描写だけで処理したと思しき箇所もあります。
 また、みぞれをいささかヘンテコ不思議ちゃんにしすぎた感もあり、後輩の剣崎ちゃん(鎧と剣)のヘンテコ具合と重なってソレが増幅され、もう少しシッカリさせても良さげではと(でも実際女子ってこんな感じなのかね?)。チームメイトとの掛け合いもソコソコで、この辺も『のぞみぞ』フィーチャーの意図なのか、男子が名前だけしか出ないのも女子校と錯覚しそうなので、せめて塚本くらいは絡めても良かったのではと思ったり…

 とは言え上記は些細といえば些細であり、この作品は総合的には比較的良作であることは否定できません。が、しつこい様ですがその他に気になるところが。
 一つは、キャラの歩行シーンを前・後ろから見た時の足の運びが変です。ソレもシーンとして多々出てくるので気になります。いわゆるガニ股歩行。京アニは内股作画ですが、ソレを鑑みれば無理やり外股に作画した印象も…w
 もう一つは演奏をあまり表現しなかったのも残念(練習シーン含む)。今回は演奏の醍醐味にはあまりウエイトがかかっていなかったのかも知れませんが、本編終盤の3楽章通し分だけでは物足りない印象でした。寧ろソレを期待した部分も少なくありませんでしたし(チネチッタのLIVE ZOUNDに遠征した)。のぞみぞの演奏の噛み合わなさがもっと積極的に表現されれば、手加減云々のシーンで説得力が増すのではないでしょうか。
 或いはソレは誠意製作中の黄前ちゃん軸の次回作用に取ってあるのかもしれませんが、それでもエンディングくらいは吹奏楽演奏にしても良かったかと思います。

 OVAとしての出来はまずまずだと思います。また旧三年生卒業後の新生北宇治のお話がこの後公開される上での、つまみ食いとして充分楽しめる作品だと思います。

■5月1日追加 ───────────────

日曜日に3回目を鑑賞。上記〝足の運びが変〟については、中盤に1シーン、終盤に2シーン以外は特に気にならなくなりました。サスガに些末だったようです。
ただ、やはりTV2期前半の合宿編は抑えたほうが、この作品の細かい所の描写に対して鑑識が深くなったり印象が強くなったりと理解が深まります。作品を見た後でもTV版の視聴はオススメです。

Geso_de_Nyoro