「カーアクション...?」ベイビー・ドライバー マダオンさんの映画レビュー(感想・評価)
カーアクション...?
ベイビー・ドライバーというタイトル、天才的な逃がし屋という設定から勝手にカーアクションを想像して見始めたけど、もしかしてこれはカーアクションではない...?
冒頭のインプレッサのシーンが爽快感あって良かっただけに、クライマックスでそれを超えるカーチェイスが来るんだろうと期待しすぎてしまった。後半の逃亡はほぼ走って逃げるのがメインで、カーアクションと呼べるのは駐車場内でセコセコぶつけ合いしてるくらい。主人公のドラテクがもっと際立つ展開を期待してしまった。
あと主人公のキャラがあんまり掴めなかったかも。
幼少期の事故で、両親を亡くしたのと耳鳴りがある設定はわかったけど、自動車泥棒にまで身を落とすかな?少なくとも里親との関係は良好だし、それをしなきゃ生活に困窮してしまっていたような雰囲気を感じられなかった。どうでもいいけど、ドラテクを身につけたのははドクと出会う前?後?
まぁその辺の説明は脳内補完の範疇なのでいいんだけど、クライマックスへの盛り上がりで、主人公が何を考えているのかが掴めなかった。完全な悪人ではないよねって言いたいのはわかるんだけど、それにしちゃ行動も流されすぎだし、10年間も悪いことしてきたんなら、今更そこに葛藤があるかね、って感じ。イマイチ共感できないというか、主人公を応援しきれなかった。
周りを固めるキャラも個性的で魅力的かと言われると...。デボラとのラブロマンスが急展開すぎて、ついていけない。たった1回いい飯屋に連れて行ってくれた男が拳銃ぶっ放して人撃ってもそれでもついていくってどういう頭してんの?っていうのは、まあある種のベタだから多めに見れるとしても。コーヒーを淹れる手が震えていた女の子が、車であの走りをされて「お抱えのドライバーじゃないわね」ってさっきとキャラ違くない?それを楽しむもんだったの?ドクだって最後ベイビーを逃がそうとするのもブレてね?って感じだし、そもそもドクにあんまり大物感を感じなかったのもデカい。ジョン爺さんも自分が家族的な存在が、なんかやばい状況になってて自分とも別れるって急に言ってんのにあの笑顔なのかな。バッツとバディは比較的良かったけど。
この映画のサブテーマ的な車と音楽については知識がないので割愛。音ハメ的な演出は面白かったけど。他の方のレビューで、ボニー&クライドのオマージュ的な話も出てたけど、そこも知識がなく...この映画を楽しむには、もっと聞き馴染んだ音楽だったり、自分の前知識が足りなかったかも。