劇場公開日 2018年6月8日

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「~「優しい言葉は他人を傷つけるから、あんまり好きじゃないんです。」~」家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5~「優しい言葉は他人を傷つけるから、あんまり好きじゃないんです。」~

2018年7月17日
PCから投稿

泣ける

楽しい

幸せ

【賛否両論チェック】
賛:笑いのオブラートに包みながら、お互いを分かっているはずなのに案外分かっていない「夫婦」というものの在るべき姿や、様々な葛藤を乗り越えて紡がれていく本当の家族愛に、思いのほか感動させられてしまう。全てを語りはしない日本的な奥ゆかしさが、作品全体を通して感じられるのも印象的。
否:主人公達の少し不思議な人間性には、どうしても観ていて得意不得意が出てきそうなところではある。観る側の想像に委ねられる部分もあるので、その辺りも好みが分かれるか。

 タイトルは割とスゴいですが(笑)、その実は非常に心温まる夫婦愛を描いています。
 3年目の結婚記念日を前に、突然死んだふりを始めた不思議な妻・ちえと、そんな妻に戸惑いながらもその気持ちを推し量り、寄り添おうとする心優しい夫・じゅん。一見滑稽にも思える2人の姿を通して、分かっていそうで案外分かっていない、本来1番近い存在であるはずの夫婦の在り方を、オブラートに包みながら訴えかけてくるようです。
 そして、ちえの父親やじゅんの同僚夫婦との関わり合いを経て、ちえが死んだふりをしてきた理由が徐々に明らかになっていくに連れ、本当の家族愛というものの尊さにも、思わず静かに感動させられてしまいます。
「月が綺麗ですね。」
は、やっぱり名言だと思います。
 安田顕さんと榮倉奈々さんだからこそ出来た、観終わった後に心がほっこりするような、そんな作品です。

映画コーディネーター・門倉カド