素敵なダイナマイトスキャンダルのレビュー・感想・評価
全45件中、1~20件目を表示
猥雑で豊かな社会
昨今はコンプライアンス遵守だったりとか炎上だったりとかで、過激な言動を慎まねばならない空気が万円している。まあ確かに、あけっぴろげにやることじゃないことも多々あるわけだが、社会全体はいかがわしいものに対して急速に厳しくなっている。
そんな今だからこそ、本作の怪しげな、猥雑な、それでいておおらかな時代の空気は新鮮でとても豊かに見える。そんな空気感だからこそ生まれる新しい表現もあるし、生きていける人たちもいる。猥雑なものもあって汚いもの目についてしまうけど、いろいろなことを許容できる社会と、キレイだけれどやってはいけないことだらけの社会とどちらが豊かな社会だろうか。
主人公の末井役を演じた柄本佑は、原作者本人も「他人と思えない」という通りの存在感あるパフォーマンスだった。彼のこれまでで一番良い仕事と言っていいのではないか。脇を固めるキャスト陣もハマり役ばかりだ。
バブルと寝た男
7歳のある日、母親は隣の息子とダイナマイトで自殺した。
それがこの映画の題名の意味とその後の主人公(末井昭)の人生を
決定づけた・・・のかな?
母親が自殺した経験を持つ子供は、少しはいるでしょう。
しかしダイナマイトで自爆した母親は末井さんの他にはいないでしょう。
なんとも末井さんが掴めなくて画像を検索してみました。
なんともフレンドリーな方です。
影もひがみも何もない、人懐こい話好きのおじさん風。
そうかぁ、こんな人当たりのいい外交的な人なのか?
ラストで、パチンコの教則本かなんかのDVDの表紙の撮影。
柄本佑は舞妓さんみたいな着物姿。
実は末井さんが女装にすっかりハマっていたのです。
エロ本「写真時代」が警察の検閲が厳しくなり廃刊に追い込まれる。
暇を持て余した末井さんは、「パチンコの攻略本かDVD」で、
大儲けしたらしい!!
兎も角、商魂逞しいです。
鼻が効くんです、金儲けに・・・趣味と実益を兼ねた人なんです。
柄本佑が一番生き生きしてたのは看板を書くときとポスターを書くとき。
一番好きなのは、イラストレーターとか、画家なんでしょうね。
きっと画家の才能には自分で見切りをつけたはず。
それで面白くも無さそうにエロ本の世界に入ったら、
才能が開花して売れちゃうんでしょうね。
兎も角、サービス精神の塊ですからね!!
エロ本もサービス精神の現れのひとつ。
「笑いと狂乱の青春グラフティ」
ある意味で末井昭はバブルの申し子。
(有名になる一歩手前の三浦透子が素敵に屈折してました)
末井昭の自伝なんかどうでもいいか
テアトル製作だったり柄本佑主演だったりでなんとなく観賞。まあ観なくてもよかったかな。まず末井昭の生涯なんて興味もなければ観賞後に興味も沸かなかった。
写真時代なんかブスモデルが多いエロ本で買ったこともなかった。(もらったことはあった)。
このくらい破天荒な人はいくらでもいるんじゃないの。素敵でもなんでもないダイナマイトスキャンダルでした。しかも主題歌を末井昭自ら尾野真千子とデュエットして歌うという職権乱用。誰にも勧めません。
周りは怪我や病気の人ばかり!そしてメガネは必ず曇っている。
けが人なんてのは“出口のない社会の底辺”というものを端的に表していると思うし、メガネが曇ってるのはそのまま末井のセンスを見誤っていたことを表していたのだろう。猥雑な社会にあっても、自らの信念を貫くところ、さらには母親がダイナマイトで自殺というトラウマなんてのも一切見せないところが偉い。ただの変態にも見えるが・・・
映画の映倫マークがエンドロール後にどんと構えて登場するのも、物語とリンクしていて面白いし、70年代80年代の性表現の規制はこんなものだったという歴史的価値もあるかもしれません。しかし、エロはエロでしかなく、今でいうブラック企業の告発も最初だけだし、権力との闘いも中途半端。それなら大島渚が裁判で闘っていた記録の方が価値がある。どちらかというと、そうした闘争の陰で便乗して儲けた感が強いと感じた。
結局は波乱万丈でありながらも、その流れを乗り切った男の物語。数奇な運命とも言えるけど、投資には失敗するも最終的にはパチンコ雑誌でまた波に乗る。ボーっと見てたら、単に成功物語にも思えてしまうし、母親(尾野真千子)のエピソードだけでも映画作品として通用するんじゃないかとも思った。
【”すえいどん”末井昭の破天荒な半生を柄本佑がきっちりと演じる。出演の役者さんたち、何人分かるかな?】
・母親が結核を病んで自暴自棄になったのか、隣家の息子とダイナマイト心中。
・デザインの勉強をして、恋人(前田敦子)も出来て・・。
・いつの間にか、エロ雑誌の世界で働く事に・・・。
・発売した雑誌が次々と発禁処分を受け、発刊、廃刊を繰り返し・・・。
・パチンコジャーナリストとして、一生を風靡し・・・
<転んでも転んでも、へらへらしながら立ち上がる不可思議な男の物語>
<冨永昌敬監督の映画に対する気概を感じた作品。>
<2018年3月24日 劇場にて鑑賞>
いい時代
昭和後半って、なんか性に対して純粋?理性のまま?で、なんかいい。今のように厳しく制限された中、こそこそやってるって感じがしなくて、潔い。そんな旦那の仕事を、嫌な気もせず、手伝っちゃうような、できた作品に笑っちゃうような。愛人が当たり前にいるような。
時代の空気感
末井昭さんがどういう方なのかという予備知識無しで観賞しました。
少しでもご本人について知識があればもっと楽しめたのに…
柄本佑さんと峯田和伸さんが当時の空気感にピッタリはまってて凄く良かったです。
接点のデジタル化
記憶からこぼれ落ちてしまったガラクタを、誰かが掃き集め、埃を払って届けてくれたような作品でした。
エロもサブカルも変わらない、とは思うものの、接点がすっかりデジタル化してしまった。
猥雑を追憶するのもたまにはいいのかもしれない。
コンビニのDVDエロ本に、そうじゃないんだよなぁ…なんて思う気持ちにはぴったりの一本でした。
最低だけど、たまらん!
見終わった後、この世界にもう少し浸っていたくて、映画館から家までSpotifyでサントラ聴きながら歩いて帰った(ほとんど弦楽器の不協和音なんだけど)。
いやーたまらん。最低だけど。最低だけどたまらん。
ストーリーは末井青年が結婚したり転職したり編集長になったり不倫したりするだけなんだけど、ディテールとか空気感がいちいちたまらん。
歩きながらポッケの小銭ばら撒く感じとか、湖での不倫デートのママス&パパスとか。メガネの汚れとか。
みんなちょっとずつ狂ってるのが、なんだかとても落ち着く。
あと、主題歌の「山の音」が素晴らしい。特に歌詞。
テーマ曲も映画にピッタリでかっこいい。菊地成孔はすごいなぁ。「荒木さん」役もとてもよかった。「エロマンチシズムで」とか言ってて。
柄本佑、よくわかんないけど異様に色気がある。
昭和の勢い
昭和の時代の勢いと猥雑さが入り混じった作品です。
今では感じられないパワーがあります。懐かしい。
映画としては、もう少しテンポ良くして語られてないエピソードを入れるなどして、昭和の高度経済成長を感じさせた方が良いと思う。
あの時代の空気を知って欲しい気がするが…
「ローリング」で完全に化けた感じの冨永昌敬監督。今作は我が青春時代に「エロ&サブカル」を牽引していた末井昭の自叙伝の映画化。
主演の柄本佑が生まれる前の話だと思うが、彼が好きな世界であることは間違いない。
同時代を生きた人間にとってはたまらん作品だが、白夜書房や荒木経惟を知らない人にはどう映るのだろう。
評価しづらいが悪くない。
サブカルなのか、B級なのかのグレーゾーンてかんじ。
デザイン学校中退し、デザインの会社から大人向け雑誌の編集者に転身。70年代~80年代全盛の雰囲気とともに、あの時代だから許された世界観たっぷりの作品。
神格化することもなく、大人向け雑誌だから底辺ということもなく、ゲスさと編集に真っすぐなかんじが伝わってきた。
柄本佑といい、安藤サクラといい、俳優として最強夫婦説を唱えたい。
全45件中、1~20件目を表示