「圧倒的な昭和裏街道クロニクル」素敵なダイナマイトスキャンダル ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
圧倒的な昭和裏街道クロニクル
冨永監督の最高傑作、と断言。ありそうでなかった高度経済成長期、昭和の裏街道を突っ走る青春クロニクル。表の昭和史は朝ドラや三丁目の夕日で散々やってるが、これは(実録ってこと含め)そこでは一切描かれない人たちのドラマ。
ヤクザや犯罪ならまだしも、この一見バカっぽい陽気で犯罪すれすれのサクセス街道を駆け上がってく前半と、何者かになってしまった男が抜け殻のようになって彷徨う後半戦の果てに立ち現われるひとりの女の幽鬼のごとき姿に特別(かなり!)な母の姿が立ち現われる。幼少時代の薄ぼんやりした記憶の幽霊かもしれないと思った母の姿が、大人になって母の自害した年になって見えてきた姿。。
とてつもなく練りに練られた構成を、見事な美術、衣装、キャスティング(隅の隅まで充実!)、撮影・照明、音楽、そして演出で描き出す。この世界観はほかの監督では描き出せなかったろう。凄い。
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