劇場公開日 2017年7月24日

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「“石の拳”の伝記映画は“並みの拳”」ハンズ・オブ・ストーン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5“石の拳”の伝記映画は“並みの拳”

2018年11月25日
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鑑賞方法:DVD/BD

単純

興奮

パナマの伝説的ボクサー、ロベルト・デュラン。
ボクシングと言うか、スポーツ自体に疎いので、名を聞くのは初めて。
Wikipediaで調べてみても、数々の防衛やタイトルを成し遂げた輝かしい実績。ガッツ石松ら日本人ボクサーとも対決。
その無敵の強さから“石の拳”のあだ名を持つチャンピオン。

映画としてはオーソドックスな作り。
生まれは貧困と犯罪蔓延るスラム街。
ボクシングを始め、メキメキと実力を発揮。
どん底に居た者が自らの拳で運命を切り開く…ボクシング映画の定番とは言え、実話ならではのハングリー精神。
やがて元名ボクサーで今は名トレーナーのレイ・アーセルと出会う。
多くのチャンピオンを育てた彼の下で指導を受け、そして遂に登り詰める。
妻との出会いも。アプローチはかなりしつこいナンパだったけど。
自信に満ち溢れた性格。一時期“デュランの日”が制定されるなどキャリアも私生活も絶好調。
しかし、ある試合が事件となる…。

ボクシング・ファンの間では有名らしい“ノー・マス事件”。
一度戦い勝った相手と再戦するも、試合途中で「ノー・マス(もうたくさんだ)」と言い放ち、棄権。(本人は否定)
これ以降、無敵を誇った彼のキャリアは揺らぐ事に。
本人にとっても曰く付きの事件。
映画はその真相に迫り、そこが作品に於ける重心になってると思いきや…、
バッシングやプレッシャー、愛国心や常に目の敵であったアメリカ…。
多くのものを背負い、戦ってきたのは分かるのだが、特別そこが深く描かれている訳でもなく。
あくまでデュランのボクシング人生の大事件の一つで、勿論ラストは再起。波乱の半生をコンパクトに纏めた感に過ぎない。

作品的には王道スタイルのストレート・パンチ。
が、“石の拳”ほどの破壊力には欠けた。

エドガー・ラミレスは熱演と白熱の試合シーンを披露。
『レイジング・ブル』がトレーナー役とは、ニヤリとさせるキャスティング。

近大