「ダークなホラーテイストに仕込まれたユーモアが秀逸」RAW 少女のめざめ バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
ダークなホラーテイストに仕込まれたユーモアが秀逸
青春時代とは誰もがとっちらかったことをしでかすし、それが大学寮のような若者の共同生活の場になると、もはや集団発狂の様相を呈する。そんな「青春」が持つ一側面が、残忍なユーモアをもって描かれている。
ヒロインは飛び級で年上ばかりの大学に入り、まだ心の準備もできていないままに大学のワイルドライフに放り込まれる。彼女にとっては、その悪ふざけの度が過ぎているからこそ、その反動でよりおかしな方向へとひた走ってしまう。それが本作ではカニバリズムであり、あからさまに性のめざめと呼応している。
とはいえ、それは誰もが通る道で、決して特別なことではない。そのありふれた性と青春の戸惑いを、よくもまあこんなにもブッ飛んだ映画に仕上げたものである。優れた青春映画であり、繊細な少女映画であり、イカレたコメディであり、戦慄のホラーでもある。ひとつのモチーフからこれだけ多面的なジャンル映画を造り上げた監督にひれ伏したい。
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