「もってかれた」今夜、ロマンス劇場で かぴ腹さんの映画レビュー(感想・評価)
もってかれた
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なにもかもがベタ。
悲恋の設定。横恋慕。周囲の暖かい協力。ワガママなようで一途な主人公。ちょっとしつこい雨。劇中劇。そんな平凡さを綾瀬はるかの魅力でカバーしようと思っていることもお見通し、お見通しなんだけど、もってかれてしまった。
どっかでなんども見たような話なんだけれど、一緒になって泣いてしまいたい、と思ってしまうのはなぜなんだろうか。
ストーリーはとても単純なオペラが、繰り返し上演されても魅力が衰えないように、なんども同じ所で笑い、なんども同じ所で胸が熱くなる。
恋愛不毛時代においても歌われるのはラブソングばかり。ソクラテスですら振り払うのに一苦労したと語ったように、ただの脳の発情回路の営みにわれわれは抗うことができない。
「美しいもの」、の連想ゲームはこの綾瀬はるかであったり、廃れることのないこのベタな感情なのかもしれない。
そんな気にさせてくれる映画だった。
撮影所で大蛇を見つけて目が輝いた綾瀬はるかが印象的だった。
竹中直人のなんと贅沢な使い方か。
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