「大味」坂道のアポロン momolengeさんの映画レビュー(感想・評価)
大味
原作はさわりだけ、アニメ版を前半の方観たのちの鑑賞。
中川大志は朝ドラでしか知らず、ぼやけた演技のイメージが強かったが勢いのある今作の演技は良かった。ちと大げさ気味ではあったが、キャラクターだからとすれば納得。
ただ、全般的にもうちょっと細部を丁寧に描いて欲しかった。
特に10年後。
百合香夫婦が薫の勤務先をナゼ知っているのか、立派になったと言われているのだから久しぶりだったはず。
百合香たちが地元を出る時に薫とやり取りがあったようには見えず、それまでの関係性から連絡を取り合うほど親しくはないはず。
で、薫が律子に逢いに行くが、律子が教師になったコトを知らないのは不自然ではなかろうか?
(もしくは、教師になってから連絡をしてなかったコトが)
映画内では律子が事故で意識不明から回復した場面で終わっているが、彼らはその後高校を普通に卒業したはず。
こちらは原作を読んでいれば不自然ではないが、この映画しか知らないとちょっと悩むところ。
初めてムカエレコードで律子の父親と顔を合わすシーン、原作ではぎこちなくもしっかり頭を下げて挨拶をしているが、映画では当初は知らんぷりをする薫。
初めてみんなが集合して地下室でセッションするシーンでは店番を律子に頼まない父親とか、
千のロザリオは最初から分かるようには原作で描かれてなかったし、
とかとか。
別にそこは原作に忠実で良くない?みたいな細部がザックリした描写になっていると観る気力が萎える。
まだ友情がそんな芽生えてない時期の薫神社に拉致されすわっ暴行?!を千が助けるシーンは入れといてもらった方が友情の成立を語るのに納得しやすくない?とか。
色々難点はあるが、千が教会で生い立ちを語るシーンや、
文化祭でのセッションなど、泣けたところはあったので、細部を気にされない方なら感動作品となるでしょう。
しかーし、これは連ドラにしてもらって、
丁寧に描き直して欲しい。
千と薫の配役は良かったが、
律子に小松菜奈は合わない気もしました。
「恋はいつも雨上がりのように」のヒロインに小松菜奈はピッタリでしたが、彼女は現代的なクールビューティではないかなと。
今作では美少女だけども素朴な雰囲気を出せる女優さんが良かったかな、と思いました。