「エル・ファニングはかわいいが、おっさんは本作を90年代最重要バンドの誕生譚と見た!」パーティで女の子に話しかけるには しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
エル・ファニングはかわいいが、おっさんは本作を90年代最重要バンドの誕生譚と見た!
「パーティで女の子に話しかけるには」
舞台は1977年。
この時代設定でピンとくるのは、英国において、パンクが全盛期になるも、セックス・ピストルズの解散をもって、終焉に向かう時代。
エル・ファニングはサイケデリックな「アメリカ人」と思われている異星人だが、その年は「SF」「アメリカの侵略」を象徴する「スター・ウォーズ」の公開でもある。
異星人だが、島国イギリス人にとっては、異質なものは、「アメリカ人」と片付ける。だが、そのルックスは実はかつて自分たちが通ってきた「サイケ」の姿であり、パンクが最も嫌った「古典的なクラシック」をベースに「テクニックこそ至高」としたプログレッシブ・ロックである。
エル・ファニングは本作を「ロミオとジュリエット」と例えた。
パンクロックと「サイケ」「プログレ」という過去の文化と「SF」という「侵略」のコロニー(生態)間の、「ボーイミーツガール」。
言ってみれば、グラムロックの旗手デヴィッド・ボウイがサイケ、スペースロックから、パンクでなく、ソウルに走ったのち、決して相容れることのなかった両者の代表である主人公二人が、双方のコロニーの反対を振り切って愛を語るお話である。
この主人公二人が、ともに意気投合し、結ばれるも、訣別を迎える。旧生態としての異星人はまるで投身自殺して、滅びゆくかのように去っていく。エル・ファニングもかぐや姫のごとく、去っていく。
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舞台は1992年。
主人公の前に、二人の子供という集団が現われる。二人の子供とは、「パンク」と「サイケ」「プログレ」「アメリカ」の申し子、ということになる。
デヴィッド・ボウイがなしえなかったこと。これは何を意味するだろうか。
おっさんはあの90年代最重要バンドとしてあげられるあのバンドを思い出した。
「パンク」の自己主張性を「アメリカ」の「グランジ」に乗っかったかのようなギターサウンドでデビューを果たしたあのバンド。そしてその後「パンク」「グランジ」の枠を超え、「プログレ」「エレクトリックサイケ」と幅広い音楽性を繰り広げたあのバンド。
そのバンドの名は、レディオヘッド。
本作は1992年にデビューした、レディオヘッド誕生譚なのだ。