「【生と死の狭間。そして、恩讐の彼方に見えたモノ。前編とトーンは異なり、ボクシングシーンの迫力が圧倒的な作品。】」あゝ、荒野 後篇 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【生と死の狭間。そして、恩讐の彼方に見えたモノ。前編とトーンは異なり、ボクシングシーンの迫力が圧倒的な作品。】
■感想
ー 作品構成の些細な瑕疵と、それをカバーするボクシングシーンの凄まじさ。ー
・前編で、多数の登場人物の複雑な人間関係を描いておきながら、後編ではその殆どが生かされていない点にやや、苛苛する。
但し、新宿新次(菅田将暉)が、劉輝を下半身不随にした裕二(山田裕貴)と”念願”の対戦シーンや、ラストのバリカン健二(ヤン・イクチュン)との対戦シーンの迫力で、全て良しとする。
・特に、それまでアニキと新次に慕われ、親友だった健二が、”自分の道を切り拓こう”と新次たち海洋拳闘クラブと決別し、別のボクシングジムに移籍することを決意するシーン。
”どうやら僕は貴方のグローブを交えたいらしい・・”
・試合前、新次は”アイツ、俺と繋がろうとしている。その手には乗らねえ・・”と吐き捨てるが・・
・そして、新宿新次とバリカン健二のファイトシーンの凄まじさ。
それと並行するように描かれる社会奉仕プログラム法(徴兵制度)への反対デモ行進のシーン。
ー 意味深である。バリカン健二のモノローグとのシンクロニシティであろう。自分たちの生死を掛けている様々な人々の姿。ー
・バリカン健二が、新宿新次にパンチを浴びる数を数えながらのモノローグ。
”ミンナ、ドコヘモイカナイデ・・。ボクハチャントココニイル・・。”
”ボクハ、トウトウ、”憎む”コトガデキナカッタ・・”
その二人の姿を見て、涙を流しながら、それぞれ肩入れしている方へ掛ける人々の“激烈な”言葉。特に、新次の母、京子の言葉。
そして、バリカン健二はマットに沈む・・。
<2018年1月14日 様々な賞の受賞記念としての特別上映で、鑑賞>
<2021年5月 2日 別媒体にて再鑑賞>