「現代社会への警鐘」あゝ、荒野 後篇 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
現代社会への警鐘
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前篇の複雑に絡み合う人間模様に期待していたけど、芳子とその母(河井青葉)、バリカンと父、新次と母といった親子の絆の描かれ方がかなり薄くなってきていた。特に震災の影響で母親を置き去りにした芳子に関しては、同じカットにいるのに繋がらないし、バリカンと父はリングで倒れていくのと同時に息を引き取ったみたいで繋がらない。新次の母京子だけは「殺せ、殺せ」と積年の恨みを晴らすかのように新次を応援するが、新次との確執が解消するわけではない。新次との繋がりを求めていたバリカンの熱い想いとは裏腹に親子関係が薄らいでいくのだ。ある意味、それを主張したかったのかもしれないけど、どうも釈然としないのです。
ボクシング映画だと思って見ていれば、それなりに凄い作品です。また、それ以上に、全編通して背景にある社会奉仕プログラム法の反対デモが現代社会への警鐘として訴えてくるものがあるのです。今の与党が3分の2を超える状態なら、日本を戦争ができる国にして、徴兵制をも復活させることは簡単かもしれない。オリンピック直後という時代設定も考えると、ナチス政権下のドイツをも思い起こしてしまいます。
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