「ビヨンド カタルシス」あゝ、荒野 後篇 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
ビヨンド カタルシス
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後半のストーリー展開は、映像に流れるヒリヒリとした焦燥感が最後迄纏わり付く。多分、原作もそうなのだろうし、ラストの結末も同じなのかは不明だが、主人公の二人が救われるというカタルシスには持って行かない。どなたかのレビューでATGの作風を引合いに出されていたが、確かに後半はそれが色濃く溢れていた。父親のストーリー、そして公開自殺した男の元恋人の伏線回収はかなりショボかったので、大胆にこの部分はカットしても良かったのではと思うのだが、しかし濡れ場、ヌードシーンは絶対必要。そういう意味でサービスカットは心に潤いを与え、そうでなくても舌が乾くようなシーンの連続にあって、今野杏南のバストトップや、木下あかりの動物のようなまぐわいは或る意味一定の精神安定をもたらしてくれる。
ラストの怒濤のファイトの末の、リング上の死という帰着は壮絶だし、果たしてこれが正しい映画のあり方なのかと、観終わった食後は憤りも覚えたが、しかしこれも又作品としての形は正解なのかもしれない。前半に口を酸っぱくして言っていた台詞である、合法的に殺すという意味をこれ程ストレートに表現した、バカ真面目なド直球のテーマなのかもしれない。『書を棄て街へ出よう』といった寺山修司の発する強烈なアピールを自分のようなもう初老も過ぎた人間には届かないだろうが、今の若者がどれだけキャッチするのだろうか、はたまた映画だけのフィクションで終わるのか、この日本への『檄』に思えてならない作品であった。
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