「あゝ、名作!」あゝ、荒野 後篇 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
あゝ、名作!
プロボクサーを目指す二人の男を描いた寺山修司の小説の2部作映画化後編。
後編の最大の見せ場は前編最後の予告でも分かる通り、“新宿”新次vs“バリカン”建二。
理由はどうあれ、共にスタートし絆を育んできた二人の男がリング上で拳をぶつけ合う事になるなんて、何とドラマチック! 最高のクライマックス! やっぱりこうでなきゃ!
しかし、興奮と感動のクライマックスについて語るのは、もうちょっと後で。
何せ後編は、ドラマ的に展開がいっぱい!
もう何から語っていいのやら…(笑)
まず、新次と建二には、お互いの父親同士の思わぬ関係が。
それを知ったのは新次。さすがに同様隠せない。が、
別にこれが闘う事になった理由ではない。
父親同士の関係が息子たちに降りかかって溝を作るなんてナンセンス。父親同士は父親同士、俺たちは俺たち。
関係ねぇよ。
また後編では、登場人物たちが意外な形で繋がり合う。
この“繋がる”というのが、今回のキーポイント。
因縁ある元仲間との試合が決まった新次。
憎んで憎んで、殺しても殺し足りない相手。
ゴングが鳴る。
お互い、闘志と殺意がぶつかり合う。
その“殺し合い”の果ては…
建二にも大きな変化が。
ある女性との出会い。(この女性が、まさかあの人物とはね…)
死期迫る父親との再会。
そして、ボクシングの腕が伸び始める。
気に入られ、別ジムから引き抜き。
建二は去る…。
ジムが閉鎖される事に。
行き場を無くす新次や片目たち。
芳子も新次の元を去る。
そんな時、強豪となった建二から試合の申し入れが…。
キャスト陣の熱演については前編レビューでたっぷり書いたので割愛…したいが、やっぱりどうしても触れたい!
菅田将暉、ヤン・イクチュン、ユースケ・サンタマリア、木下あかり、高橋和也、でんでん、木村多江…。
もはや演技というレベルではない魂を燃やした姿に、改めて拍手と称賛を贈りたい。
遂に、新次と建二の試合の時が。
そもそも、何故二人が闘わなければならないのか。
それは、闘わなければならないからだ。
前編は言わば、何にも無い荒野のようなこの世界で、何にしがみつくか、だったと思う。
今作は、何にも無い荒野のようなこの世界で、何と闘い、誰と繋がるか。
憎しむ事でしか繋がれない新次。
それを受け入れる事でしか繋がれない建二。
動と静。憎しみと愛。
あなたと闘い。あなたと繋がりたい。あなたを愛したい。
拳をぶつけ合って、語り、受け入れ、繋がる。
荒野の男たち。取り囲む周りの者たち。
それぞれ各々の胸中を込めて。
5時間の壮絶な生きざま。
長尺があっという間、またこの世界に浸りたいと思わせる。
こりゃ本当に、今年の邦画の…いや、今年の映画の“チャンピオン”の一つ!
近大さん🙇前編の続きです…「あゝ、名作!」共感です💕
…17年10/23に前編同様、友人と、また朝イチで鑑賞。
…前編鑑賞後、手が震えたのは、心の震えに共鳴したからの様です。私もこんな映画は久しぶりでした😂
ボクシングやっている、男友達は、よく『拳と拳で会話してるんだ』…と言います👊
…邦画映史に残る、男の名作で間違いない…と思ったのは、館内で人目もはばからず、ワンワン男き泣してる人を見たからです😭
…私ほど、菅田クン好きでもない友人はすっかりヤンさんのファンに…帰りの書店で、「キネマ旬報/別冊の菅田クン特集号に2人の対談載ってる」と教えたら、買ってました☺