「【よろしく道玄坂】」彼女の人生は間違いじゃない 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
【よろしく道玄坂】
歌舞伎町発 いわき経由 道玄坂行き
震災の放射能汚染被害によって仮設暮らしを強いられた人々にとっては、我が家に「一生帰れないかもしれない…」との思いは、どうしても拭い去れ無い。毎日が不安との戦いでも有る。
反面、世間からは「保証金で遊んで暮らせてるんだから…」との見方をする人達は居る。
ただ1つ言える事は、【未来が見えない】とゆう事実。
おそらく仮設暮らしを強いられた多くの人達は、「国から見捨てられている」…とゆう感覚を少なからず持っているのでは?
それだけに、同じ境遇の辛さからお互い助け合い。寄り添いながらの生活が描かれる。
”何が何でも助ける”
主人公の女性は、「生きて行かなければいけない!」との思いから、週末都会に出掛けては或る仕事をこなす。
怖くて震えていた仔犬の様な自分を労ってくれた言葉を信じて。
国から「見放されているのでは?」 と思っては居ても、「いや、そうでは無かった。」と思い直す存在が、カメラマン役の蓮佛美沙子が撮った写真。
一歩前に進む勇気を父親役の光石研はその写真から受け取るのだ。
主人公役の瀧内公美が良い。
脆く崩れそうになるのを必死になって保つている繊細な女性を、懸命に演じていた。
父親役の光石研はいつも素晴らしいのだが。今回の生活感が有る役どころは、これまででもベストアクトに入る程。影の主役と言って良いだろう。
誰もが明日の見えない闇に苦しんでいるのだが。映画の中で1番それを感じているのが、市役所勤めの柄本時生。
映画本編が良かっただけに、彼と蓮佛美沙子とのその後が気になってしまう。
原作は監督廣木隆一自身。
近年今ひとつの作品が続いていただけに、今後は自分のやりたい作品だけに専念して欲しいと切に願う次第。
(2017年7月19日 ヒューマントラストシネマ渋谷/シアター1)