「苦しいけどちゃんと今を生きる」彼女の人生は間違いじゃない パセリさんの映画レビュー(感想・評価)
苦しいけどちゃんと今を生きる
それぞれきっかけはあるにせよ、自分たちで気付き少しでも前進するために動き出すことが出来て良かったのかな。ただやはり被災地は今も色んな方面で苦しんでいる人が多いんだと改めて感じました。
それぞれ悩みを抱えていて、被災者同士でも程度の違いがあってそこで起こる対立もあり、いつの間にか加害者扱いをされる人もいる。除染作業をされている隣人の旦那さんが私たちが悪いんですかねーという一言が印象的でした。
デリヘルのところはとにかく模写がリアル。しかも時間も結構長く撮り方やアングルもAV目線のようで驚きました。結局なぜ彼女がデリヘル嬢をやっているのかは語られませんでしたが、待機室や車の中で見せる表情を見ていると彼女にとっては現実を忘れ自分らしくいられる居場所だったのかなと感じました。
みゆきを演じられた滝内公美さん、虚無感、喪失感等の感情を見事に表現されていたように感じます。とにかく裸のシーンが多いし、それ以上にデリヘル嬢という役柄がしっかり描かれている為、際どすぎる模写ばかりですが本当に体当りで素晴らしかったです。脇を固める方々が安定感のある方ばかりなのもよかった。
東京の学生が卒論の研究材料として取材するシーン。まるで感情を無視したかのような聞き方、会話している内容も一般的なものばかりなのにそれをメモってるシーンがバカっぽすぎてイラッとしちゃいました。それぐらい内側から見たらバカにした関わり方をしている人がいるという抽象でしょうか。
最後に風俗嬢に対する態度がひどい人が多いですよね。結局2人目で出てきた客も最後に過去の風俗嬢を軽視した発言もありましたし。風俗嬢の方にちゃんと感謝出来る人がたくさんいて欲しいです。