「郊外の夢が暴かれる時」サバービコン 仮面を被った街 ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
郊外の夢が暴かれる時
タイトルは郊外を意味するsuburbiaと騙すなどの意味のconをくっつけた造語だろうか。それをそのまま街の名前としている。内容もまさにそのふたつの単語がイメージさせるようなものになっている。
この映画は2つの大きな物語がある。1つはマット・デイモン一家の偽装殺人事件だが、これがコーエン兄弟の書いた脚本から生まれたもの。もう1つは、デイモン一家の隣に越してくる黒人一家のマイヤーズ家が巻き込まれる暴動だが、こちらは実話から取られている。50年代、「郊外の父」ウィリアム・レヴィットが作ったレヴィットタウンに越してきた黒人のマイヤーズ家が、周囲の白人から迫害された事件を基にしている。
この2つの物語が上手く融合していない点は本作の弱点だ。だが、映画の精神性というかテーマという点では共通しているものがあるだろう。どちらも、郊外の一軒家というアメリカンドリームの欺瞞的側面を暴き出すという点で。娯楽映画としてやや物足りなさは感じるが、アメリカの近代史についての学びは大きい作品だ。
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