「欧米メディアの報道ではうかがい知れないフィリピンの闇」ローサは密告された ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
欧米メディアの報道ではうかがい知れないフィリピンの闇
麻薬のはびこり、警官の腐敗が状態化したフィリピンのスラムの実態をリアルに切り取る作品。フィリピンで麻薬と言えば、ドゥテルテ大統領が、撲滅のための過激な政策が、欧米諸国から問題視されているが、この作品はドゥテルテ政権誕生以前のスラムの現実を描いている。
雑貨屋を営む、ごく普通の貧しい家庭が生活費のために麻薬を売っている。ある日妻のローサが逮捕され、釈放に高額の保釈金か他の売人を密告するよう強要される。そうして密告が連鎖していき、地域の信頼は崩壊。警官は押収した麻薬を横流し。この人々に救いはあるのか。一筋縄ではいきそうになり、社会が腐敗していく連鎖がドキュメンタリータッチで紡がれる。
主役のジャクリン・ホセがフィリピン人として初のカンヌ女優賞に輝いたが、そのリアルな佇まいが素晴らしい。ケン・ローやダルデンヌ監督などの作品が好きな人にオススメ。
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