テイク8のレビュー・感想・評価
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高さの問題
4本中3本目。
これが4作の中では一番良かった。日暮夫婦の成婚ストーリーですね。着想・発想の面白さ。映画を作っている人達を題材にしてる点やテンポの速さ。役者演技の良しあしを、もろともせずに進行する、ブルドーザー感。まるっきり「カメ止め」。「情熱が全てのものを動かす鍵」の精神は、そのままにカメ止めへ引き継がれているみたいです。
やっぱり、上田監督、好きです。映画の完成度には拘わらず、正しいメッセージを根底に持ち、積み上げられる脚本・作品には、ひきつけられるものがあります。
ただ、無理に笑い取りに行かなくてもいいんじゃないの、って思うところもありました。ラストの上げ底、つか台の上に乗る、つか嵩上げ?好きなんですね。あ、これがルーツか?って思い、笑ってしまった。
バイトリーダーなんで、
自主映画製作に打ち込む男との結婚をなかなか許せない父と、何とか認めてもらいたい監督と女優のカップル、肉親の愛情と恋人の愛情が交差する一日。
設定的にはバンドマンでも芸術家でも役者でも成立する話だけど、撮影中の劇中劇とリンクさせる事で更に面白く感じる。
「私が稼ぐわよ」「幸せになりたいなんて誰が言った?」この台詞が胸を打って、涙が溢れて仕方なかった。
「2年続けて何にもならなかったら止める」「いいんじゃない、でも無理だと思う」のやりとりも熱い。
何かに熱中して続けている人はなかなか止められなくて、それも見越して含めて、本当に好きなんだなと思った。
上田監督とふくだ監督夫妻、そして「カメラを止めるな!」の隆之と晴美の日暮夫妻をどうしても重ねてしまう。
結婚を巡るドラマの傍ら、映画撮影の裏側ドラマとしてもとても楽しかった。
後輩に威張ってばかりの先輩ADと新郎役のバイトリーダーが好き。「芝居大きくなかったですか!?」
散々NG重ねた後、ダメ押しの新郎役バックレに手作り感満載の対処の仕方とラストも好き。
テイク8の出来上がりを想像するだけで非常にこみ上げて来るものがある。
無事握手して終わってほしいけど、結局まだ任せられないと意地張るのもそれはそれで面白いな。
上田ふくだ夫妻監督傑作選にて
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