「傑作ではないが駄作でもない」EUREKA 交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 連雀さんの映画レビュー(感想・評価)
傑作ではないが駄作でもない
なにしろロードムービーですからね~これは卑怯と言う感じです。もう感動するし泣くしかないじゃないですか。
子供が人を親にしてくれると言う言葉がありますが、まさにエウレカのとってのアイリスがソレで、アイリスとの逃避行がエウレカに『人間』として生きる感情を呼び戻す契機となっていく過程が本当にたまらないです。
もうひとつ、観ていてたまらなかったのはエウレカとアネモネの友情であり、絆の描写。ここは実に良かった。二人が与えられた役割をこなそうと頑張っている部分と、気心知れた二人の時にかつてのように女の子に戻って会話する部分の落差とかが私のめっちゃ好みでした。
実際、この作品は実に偏っていて、戦闘シーンでも爆破シーンには物凄く作画カロリーをかけているのにそれ以外は案外投げやりだったり、特にモブの戦闘員やら逃げる民衆とかははっきり手抜きだったりとアンバランスなのです。
脚本でも、上記したエウレカとアイリスの逃避行の部分の描写に比べると、それ以外の物語があり得ないレベルで手抜きだったりします。
その一方で、他の人気作品のパロディにはやたら熱心だったり、エウレカ達以外の登場人物の扱いが不当に軽かったりとか、とことんアンバランス。
でも、物語に整合性を持たせるよりももっと大事な事がある!と言うスタンスであるならば、これもありかと思わせるほどエウレカの描写が良かったので全て許してしまいました。
私は最初のTVシリーズからしてアネモネが大好きでして、だからアネモネが救われる第二作目の『ANEMONE』は大好きですし、そのアネモネがエウレカと友情を結ぶ本作『EUREKA』も大好きです。
シリーズ作品の完結編として考えると色々とアレですが、とことんエウレカやアネモネの気持ちに寄り添えば全然アリな結末だったと思います。また観たい作品です。