「純粋な愛の終焉」地獄愛 shantiさんの映画レビュー(感想・評価)
純粋な愛の終焉
この監督のテーマてある「愛」の掘り下げ方には圧倒される。表面上はキワモノでしかない場所から、聖なる感性の美しさの領域へと鑑賞者を誘い込む。その手腕は全く圧巻である。こういった素晴らしい作品と作家に出会える喜びのために映画館へと足を運ぶのかもしれない。ある特定の人たちを惹きつける日本のタイトル、あえて悪意あるタイトルだと私は言おう。原題のタイトルは「ハレルヤ」。全く嘘のない完璧なタイトルであるにもかかわらず、それを歪める悪どさ。先ず鑑賞者は玉石混交の中から価値あるものを取り出す作業を強いられる。タイトルが作品の一番最初の入り口であるだけに、その作品に敬意をもって慎重に日本語のタイトルを付けてもらいたい。とは言っても、内容の激しさから判断すると陳腐なタイトルを付けるのも分からなくもないが、作品の品格を保つようにはして欲しい。見る人を選ぶ作品だが、内容はやはりとびっきりの美しさだ。狂気と怠惰と性愛と堕落の先にある純粋な愛の姿。そして、愛の魔法が解けてしまった後の現実的な悲しさ。ひとを殺すことさえ厭わない愛の深さは、信じるものへの愛と表裏一体なのである。求道、やり過ぎであり、行き過ぎであり、歪んだ求道精神の途中はこれほどまでて崇高な感情に包まれる。それを上手く描いた稀有な作品である。キワモノのフィルターの向こうにある美しさを鑑賞して、この作品の持つ際立った美しさを堪能出来た今日は全くの好日であった。
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