「《最高の失恋》とは何か」心が叫びたがってるんだ。 M Kさんの映画レビュー(感想・評価)
《最高の失恋》とは何か
”《最高の失恋》は、あなたをきっと強くする。 ”
ということで、友人に誘われ映画予告の情報のみで鑑賞。
ふれあい交流会初のミュージカルを上映する。という内容の青春映画であれば完成度は高いといえるだろう。
しかし、”最高の失恋”に焦点を当てた場合、彼ら四人の恋愛は失恋。といえるのか。というところに疑問がいく。
成瀬は、坂上の見せる行為にひかれてしまういわゆる”勘違い”から芽生える恋であり、仁藤は自分の発言から産んだ別れを3年は引きずっている未練たらたらの恋。
田崎は頑張っている成瀬へのあこがれから始まる。
そして、坂上は仁藤に対する”未練”というな表現は一切なく、むしろ成瀬への”好意”のほうが多く描かれているのだ。それがまさかのどんでん返しである。
そして、再び戻るがこの映画で表現したい”最高の失恋”は何なのだろうかと考えさせられる。
はたまた、成瀬の坂上に対する思いが最高の失恋だとすれば
幼き頃のトラウマであるラブホの廃墟で「歌が歌えなくなった」とはじまり、声が出るようになったところで坂上への暴言を吐く流れとなってしまう。そして、その後会場で歌い、失恋相手の坂上と手を取って共演するシーンへと発展する流れは成瀬の心は鋼のように強いと思わざる負えない。
数々の思い出を「嘘つき」と否定した発言をしてしまうことが果たして”最高の失恋”といわせてしまうのだろうか。
内容については、青春時代によくあることだろう。
本音が伝えられず、うまくいかないこと。
好きになった相手が実は他の人が好きということ。
何かをやろう。ということに、誰かしらの反対が出ること。
現代社会の家庭問題など、如実に表現されているとはおもう。
四人を主人公とするには内容が薄い
成瀬を主人公とするには少々無理がある展開
坂上を主人公とするには恋愛の表現が足りない(未練があるそぶりが一切ない”子ども”ならでは表現があってもよい)
仁藤を主人公とするには女の嫉妬の醜さが表現されすぎている
田崎を主人公とするには一番恋愛らしい恋愛であり、失恋らしい失恋だと思う。
ラストシーンで田崎が「成瀬順が好きだ!」と叫び、それを笑われてしまう。また、その後四人が何を叫んだのかは想像にお任せするというラストであった。
単なる青春映画としてみる分には、一人一人が協力し合っている、高校生らしさが出ていて個人的には好きではあった。ミュージカルのシーンもいかにも手作り感が出ているチープさが逆に、らしさを表現していたと思う。
しかし”最高の失恋”をうたっている中で見るには物足りなさを感じるのは否めない。
アニメがテレビで上映されるようなので、そちらも鑑賞してみる。
しかしながら実写版での”最高の失恋”における”感動”は起きなかったのは非常に残念である。