劇場公開日 2017年12月23日

「松岡茉優さんを堪能!」勝手にふるえてろ おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0松岡茉優さんを堪能!

2017年12月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

たまたま時間が合い,松岡茉優さんが好きだったので,軽い気持ちで鑑賞してきました。主人公ヨシカのジェットコースターのような感情の起伏や毒のあるツッコミがめっちゃおもしろかったです。原作未読のため,展開が読めず,イチとのハッピーエンドがオチかと中盤あたりで予想していたら,とんでもなかったです。むしろ,そこからが本作の主題。ヨシカを通していろいろなことを考えさせられます。

ヨシカの妄想理想世界が崩れたとき,序盤から気になっていた,「なんでこんなに明るく開放的なかわいい子がこじらせてんの?」という疑問が,一気に氷解しました。多かれ少なかれ誰もが抱える心の闇や毒,願望の妄想が,これまでの彼女の言動と重なり,胸が締め付けられるようでした。

フレディ,オカリナ,ニなど,身近な人でさえ名前で呼ばないヨシカが,皮肉にもイチからは名前で呼ばれない。自分と他人を区別し,同時に結び付け,一個人としての居場所をそこに与えてくれるものが「名前」なんだなと強く感じました。最後に「ニ」を「霧島」に昇格させて,ヨシカの変容を描いているのは印象的でした。

それにしても,松岡茉優さんの演技はすばらしいです。これまでもテレビドラマで何度も見ているので,演技の幅が広いのは承知していましたが,中でも本作のヨシカは秀逸です。自分の中にある強い思いで突き進むような役は,彼女の真骨頂ではないでしょうか。女優松岡茉優をたっぷり堪能できる一本でした。

おじゃる